極東宇宙基地からの初打上成功

AP撮影
 極東の新しい宇宙基地からロケット第1号が打ち上げられたことは、ロシアにとって何を意味するのだろうか。ロシアNOWが特集する。

ロケット第1号とは

 ロシア極東アムール州の「ボストチヌイ」宇宙基地から4月28日現地時間午前11時1分(日本時間午前11時1分)、ロケット第1号(打ち上げロケット「ソユーズ2.1a」)が打ち上げられた。搭載されていた人工衛星3基は、軌道上に無事投入された。ウラジーミル・プーチン大統領およびロシアの宇宙分野の幹部も現地で発射を見守った。

発射予定が変わったのはなぜ

 4月27日午前に打ち上げられる予定だったが、発射1分半前に技術的理由により、中止になった

 ロシア連邦宇宙局のイーゴリ・コマロフ長官はその後、制御システムのケーブルの1つで問題が発生したことが延期の理由だと説明した。日中にケーブルは交換され、問題は是正された。だが延期後も基地に残ったプーチン大統領率いる国家委員会が、次の打ち上げの時間について決定するのに、28日午前1時までかかった。

 

打ち上げ延期の責任は誰にあるか

 ロシアの「コメルサント」紙によると、政府の宇宙分野担当であるドミトリー・ロゴジン副首相は、プーチン大統領に叱責されたという。コマロフ長官も厳しく叱責された。ケーブルを製造したエカテリンブルクの会社「NPOアフトマチキ」のレオニード・シャリモフ最高責任者(CEO)は、職責を全うしていないと苦言を呈された。同社は欠陥ケーブル納品に対する責任を負うとされた。

 

ロシアの宇宙分野にとって発射は何を意味するのか

 ボストチヌイはロシア唯一の宇宙基地ではない。ロシア北部アルハンゲリスク州の「プレセツク」軍事宇宙基地からも、打ち上げは行われている。だが、ボストチヌイははるか南に位置しており、プレセツクよりも赤道に近い。そのため、ロケットの積載量を増やすことができる。

 ソユーズ2.1aの打ち上げは、2007年に建設の決まったボストチヌイ宇宙基地の完工を意味するものではない。今年末までにソユーズ打ち上げラインのみの完成が予定されている。その後、新しい「アンガラ」ロケットを打ち上げる施設である第2ラインの建設が始まる。

 ボストチヌイからの次の打ち上げは2017年に予定されている。2018年からは毎年5回、将来的には毎年8回になる見込み。ボストチヌイからの有人宇宙飛行は2023年に予定されている。

 それでも2020年代初めまで、カザフスタンにある「バイコヌール」宇宙基地がロシアの主要な宇宙基地になり続ける。ロシアのバイコヌールの租借契約は2050年まで有効で、年間1億ドル(約110億円)以上支払っている。

 

新しい宇宙基地が必要なのはなぜ

 ボストチヌイ建設の理由の一つは、バイコヌールに関連する問題である。カザフスタンはバイコヌールからの打ち上げを減らし始め、租借中のバイコヌールをロシアの管轄から自国の管轄に移すと主張し始めた。ロシア連邦宇宙局の情報によると、ロシアは2013年、17回の打ち上げを希望したが、カザフスタン政府は打ち上げが環境を汚すとの理由で12回しか承認しなかった。ロシアはバイコヌールの代わりにプレセツクを使用することはできない。プレセツクは重量級「プロトン」ロケットを打ち上げられないため。ロシア連邦宇宙局は、「自国領域からの独立した宇宙活動および国家安全保障上の優先課題の確実な実施」のために、ボストチヌイの建設が必要だと説明している。

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