小惑星衝突を回避する新技術

 地球を守るため、シベリアの研究者が地球から離れる軌道上で小惑星を破壊することを提案している。破壊に必要な爆発力があるのは核兵器のみだが、今のところ、この宇宙空間での使用は禁じられている。

 今後185年以内に、地球の引力圏を39の小惑星が通過する。地球を守る方法の一つは、地球から離れる軌道上で危険な小惑星を破壊することで、シベリアの研究者が最近、これを提案した。

 

地球の上には1万1000個

 地球に接近する小惑星の数は1万1000個以上と推算されている。その一部は、地球にとって現実的な危険である。調査によると、39個がそれに該当する。

 巨大な塊が気づかれることなく地球に接近する可能性は、ほぼゼロである。一方で、直径300メートル以下の小さな塊の場合、人間にとって驚きとなる可能性がある。このような大きさの小惑星が地球に落下すると、大都市丸ごとまたは国家丸ごとが消滅する可能性もある。

 いかにして地球を脅かす小惑星の進路を変えるか、という問題には、世界のさまざまな国の多くの研究者が取り組んでいる。地球を守る方法のどれを採用するかは、小惑星の大きさによって変わる。押してよけるか、破砕するかである。

 

小惑星が戻ってくる

 知られている小惑星の多くは、少しだけ軌道を変えつつ、定期的に地球に向けて戻ってくる。トムスク国立大学の研究者は他の研究機関の研究者とともに、潜在的に危険な小惑星が通過した後にそれらを爆破し、排除することを提案した。

 「スーパーコンピュータ『SKIFシベリア』を使って、小惑星を核爆破することをシミュレーションした。高レベル放射性デブリを地球に向けない条件を整えるために、地球に向かっている時ではなく、地球から離れていく時に排除することを提案している。この対策ははるかに効果的で安全」と、トムスク国立大学応用数学・機械学研究所のタチヤナ・ガルシナ研究員はロシアNOWに話した。

 シミュレーションには、2029年に3万8000キロまで地球に接近する小惑星アポフィスに似た直径200メートルの天体を、標的として用いた。これほどの大きさの小惑星を破壊するには、広島型原子爆弾の50倍強力な、TNT1メガトン相当の爆発が必要になる。

 

破片はどうなる?

 この方法はどれほど危険なのだろうか、実施した場合に、地球にデブリが降り注ぐ危険性はないのだろうか。

 「コンピュータのシミュレーションは、小惑星の一部が気体と液滴に変わり、他の一部が10メートル以下の破片まで破砕されることを示した。このサイズは地球の安全性の面で、最大限に許容可能。また、ロケットは小惑星を背後からとらえるため、ほぼすべての破片は前方、すなわち地球とは反対方向に飛ぶ」とガルシナ研究員。

 物理の法則により、破壊された小惑星の破片は通常の軌道を飛行し、再び地球に向かう可能性がある。しかしながら、シミュレーションによれば、影響は非常に小さい。「破片は軌道上に分散し、地球に落ちるのはごく少量になる。当方のシミュレーションでは、10万個のうち1個が落ちるのみ」とガルシナ研究員。

 とはいえ、新しい技術には批判もある。トムスク国立大学の関係者によると、スーパーコンピュータで得られた結果の実現は今のところ、考えにくいという。新しい技術への批判の内容とは、これほどの強力な破壊は核兵器でのみ可能であって、宇宙空間での使用は禁止されているというもの。また、標的を確実に射止めるという問題も、今のところ未解決である。

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