地球帰還直後のロシアのミハイル・コルニエンコ氏やセルゲイ・ヴォルコフ氏、また、米国のスコット・ケリー氏=
キリル・クドリャフツェフ撮影/ロシア通信無重力空間では、食べ物には重さがない。そのため、頻繁にお腹が空くようになる。ロシアNOWの取材に応じた学術実験リーダーのボリス・アフォニン氏によれば、ただでさえ身体活動が低下するところへ、さらに食欲が増進するとなれば、宇宙飛行士は体重を増加させてしまうかもしれない。
また、宇宙空間では、味覚も変わる。「地上で試食した際おいしく感じられた製品が、宇宙空間ではそう感じられなくなる。おいしくない、と飛行士が文句を言うこともある。どうして嗜好が変わるのか、解明が待たれる」とアフォニン氏は語る。
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地球に帰還を果たした後も、すぐに通常の食事に戻ることはできない。「適応期間が必要だ。はじめのうち、地上の食品は、味が濃すぎるように感じられる。これは、無重力空間で消化管の緊張がゆるみ、機能が低下するためだ」とアフォニン氏。
実験の目的の一つは、気管支のどの部分が特に変容をこうむるか、病理学的変異のリスクはあるか、という点を突き止めることだった。実験データは将来的に、消化器系を保護する手段を開発し、宇宙飛行士の最適な食餌メニューを考案するのに役立てられる。
水分補給不足症、つまり、人体における、血液など液体培地の再分配という問題もある。ロシアNOWの取材に応じたロシア科学アカデミー医学生物学問題研究所主席研究員ガリーナ・ワシーリエワ氏によれば、「無重力では大量の血液が体の下部から頭の方へ移動する。体は非常事態を感じ取り、この状況に適応するために、余分な水分を排出しようとする」
正反対の現象が着陸後の飛行士に見られる。重力が戻ってくるのに応じて、血液の、体の下部への急速な逆流が起こる。帰還直後の宇宙飛行士が立つこともままならないのはこのためだ。宇宙と地球の両方で、より簡単に、よりすみやかに適応が進むようにすることを目指し、研究が進められている。
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