オレグ・コノネンコ宇宙飛行士=
AP昨年末、ロシアのオレグ・コノネンコ宇宙飛行士は、既に通算3度目となるISSでのミッションから帰還した。このミッションには油井亀美也とアメリカのチェル・リングリンの両宇宙飛行士も参加していた。
どのミッションも他のそれとは全然違いますが、経験を積めば自信が生まれてきます。もちろん、宇宙で自信過剰になってはいけませんが、軌道でどんなことが起り得るか、飛行管制センターとどう交信すればいいかといったことは、もう知っている訳です。
ミッションの期間を短縮せざるを得なくなったためです。最近の補給船「プログレスМ」が制御不能に陥った事故で、クルーを送り込む有人飛行は5月末から7月末に延期されました。専門家達は事態を解明せねばなりませんでした。そのあおりで、私は12の医学実験を行う予定だったのに、9~10しかやれませんでした。修理について言えば、ISSは、当然のことですが、若返りはしませんからね。それでも、ロシアのセグメントもアメリカのそれも、良好な状態にあります。
実験内容はミッションに応じて変わります。最後の時は、医学実験がかなり多かったです。宇宙に長期滞在した際に人体がどんな変化を被るか、我々はまだほとんど知らない等しいのです。
例えば、私は新しい医学実験UDODをやりました。無重力状態での呼吸のプロセスを調べるのです。学者達は、運動機能減退症(運動機能が十分に働かなくなる――編集部注)を予防するために、これらの知見を利用することができます。もう一つDANという、下半身に悪影響を及ぼすような負荷を加える新実験があります。その目的は、無重力状態により上半身の血流が変わると、頸動脈の血圧はどう変化するのか、突き止めることです。それから私が気に入ったのは、現代化された実験「パイロット」です。これは、操縦、着陸の技術を検査するものですね。また私達は、ドイツの研究者とともに、ロボットを遠隔操作する実験「コントゥル(輪郭)2」を行いました。人類が火星に飛行した時、この惑星の予備的な調査はロボットがやることになります。
さらに私は、露日共同実験にも参加しました。放射能の状況に関連した実験で、宇宙の放射能を研究します。
最後のミッションは、キミヤがいて、とても幸運だったと思います。物事を何でもよく弁えていて、賢くて、とても注意深い人でした。素晴らしい人間的資質を持ち、温和な性格です。お互いをよく理解し合えたと思います。国際ミッションは、相互理解について教えてくれます。クルー全員が同じ惑星の子であり、宇宙では互いに依存し合っています。こうした例を地上にも広めるべきだと思います。
私とキミヤはロシア語でも英語でも話しました。彼はISSに来る前にもうロシア語を見事に操っていました。彼はロシア語のファンなんです。彼によると、ロシア語を習得したのは、別に宇宙に行くからではなくて、ロシアとロシア人が大好きで、ロシアの作家達に興味があるからだというんですね。自分は日露の架け橋になりたいと言っています。
我々は皆人間ですから、宇宙に出た時には恐怖感を味わいます。でも私の場合は、責任感の方が上回っているでしょうか。これは難しい作業なので、細心の注意を払っています。
科学技術の進歩の予言は、報われない仕事です。でも近年、人類は新素材やエネルギーの分野で飛躍を遂げました。私の感触では、現代技術をもってすれば、月の開拓は十分可能です。いずれにせよ、これは不可欠です。地球の資源は早晩枯渇するのですから。そうなれば勢い、月も火星も開拓せねばならなくなります。
遠宇宙への飛行で現実に危険になるのは、宇宙の放射能です。どうやってそれから身を守ればいいか、人類はまだ解決策を考え出していません。もう一つは宇宙ゴミです。当面、我々は、補給船にそれを詰め込んで、大気圏で燃やしていますが、遠宇宙となると、どうしたものか、今のところ分からないですね。
その協力がロシアの学者を刺激して新技術を開発させ、それらがロシアの産業の底力を示せるならば――そういう協力なら、私は賛成です。それは、様々な分野でロシアの競争力を高めてくれるでしょう。共同の宇宙ステーションも基地も必要です。それらは、科学的なものでも、戦略的、軍事的なものでもあり得るでしょうが、しかし、その建設が可能になるのは、地上での各国の政治的対立を克服できた時の話です。そうなれば、国際協力は実りをもたらすでしょう。
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