ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相、日本の岸田文雄外務相、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務相、日本の稲田朋美防衛相=
ロイター通信協議後の記者会見で日露双方は、安倍首相が4月にロシアを訪問することを確認したほか、会談の中では、共同経済活動に関するそれぞれの提案を提示し合った。また、北朝鮮の核ミサイル開発をめぐる状況を含む、安全保障問題についても話し合った。安全保障の分野では一定の合意がなされたが、南クリル諸島(「北方四島」)におけるロシアの軍事上の活発化は、日本側に懸念を呼び起こした。
とはいうものの専門家たちの意見によれば、2プラス2の再開そのものが両国関係にとって真に重要であるという。
会談後、岸田文雄外相が述べたところによると、2プラス2は両国間の信頼強化に寄与するとともに、地域の安全保障をめぐる状況を考える上でも重要であるという。一方、セルゲイ・ラブロフ露外相も、長い中断を挟んだ後での2プラス2の再開は「極めて有益」だと述べた。
協議の前にロシアNOWが話を聞いた専門家たちも異口同音に、現在の状況では2プラス2の再開が重要だと述べていた。
「2プラス2の再開はとても重要。これについては、昨年12月プーチン大統領が東京を訪問した際に既に話し合われていたが、再開の決定は当時まだ発表されていなかった」。畔蒜泰助(あびる・たいすけ)東京財団研究員兼政策プロデューサーは、ロシアNOWに対してこう説明した。
「ところが、安倍首相がアメリカから戻るとすぐに、ロシアと日本の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の再開が発表された。日本は安全保障分野でロシアと協力してもかまわないとのシグナルがアメリカから出たのだろう」。畔蒜氏はこう述べる。ロシア科学アカデミー付属極東研究所・日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長も、2プラス2の再開は、「無条件に重要」な出来事だと指摘した。キスタノフ所長によれば、2プラス2は、南クリル諸島における共同経済活動の協議および外務次官級の戦略的対話と合わせて、露日関係の様々なレベルに「良いチャンスをもたらし、現在両国間に存在する問題の解決と妥協点の模索においても、可能性を切り開くものである」
協議後の記者会見で岸田文雄外相は、4月下旬に安倍首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談することを伝えた。また、3月18日に行われた外務次官級協議でも、20日の2プラス2でも、主な議題の一つは、南クリル諸島における共同経済活動の問題だった。
「今後、優先して作業するプロジェクトの絞り込みや法的基盤の検討を含めて議論を深めることを確認した」。岸田外相はこう述べた。
同外相によれば、露日双方は、旧島民のために航空機を利用する問題についても検討することで一致した。一方、ラブロフ外相は、「サハリン州と北海道の間でのビザなし渡航」の制度を導入する可能性についても話し合ったことを指摘した。
しかしラブロフ外相は、アジア太平洋地域の安全保障問題について、ブロック型アプローチつまり閉鎖的な対応の傾向が保たれていることに関連して、ロシア側の懸念を表明した。「現在世界が突き付ける様々な問題と脅威にうまく対応するためには、集団的措置のみが必要となる」。こうラブロフ外相は強調した。とくに同外相は、地域にアメリカのグローバルなミサイル防衛(MD)の一部を配備することが孕む危険を指摘した。
協議ではまた、テロと麻薬流通への対策での協力についても話し合われた。
ウクライナ問題に関しては、ラブロフ外相によると、ロシアと日本は、ミンスク合意を完全履行することが必要であるとの同一の立場をとっている。
協議ではまた、シリア情勢についても触れられた。例えば、ロシア側は、テロ対策での自国の努力について伝え、政治的手段による正常化のためにアスタナ(カザフスタン)とジュネーブでの会談を利用していると語った。このほか、ロシア側は、シリアの文化遺跡での地雷除去および、シリア住民への医療援助に、日本側が参加するよう提案した。
日露双方は、防衛担当省庁間の協力関係も発展させていくことで一致した。具体的には、セルゲイ・ショイグ国防相によると、参謀本部レベルでの交流で合意。一方、稲田朋美防衛大臣によれば、両国は、日本の海上自衛隊練習艦が今年ロシアの港に寄港することで合意したという。
その一方で、意見の相違も表面化した。日本側は、ロシアの地対艦ミサイルや新たな師団の配備など、南クリル諸島における軍事的活発化に懸念を示したと、岸田外相は述べた。
これに対し、ショイグ国防相は、極東に配置されている師団はもっぱら自国防衛のためだと説明した。
「師団は、最近6年間にわたり、ロシア連邦の3つの構成主体、すなわち沿海地方、サハリン州、アムール州に配置されてきた」とショイグ国防相は述べた。
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