プーチンとトランプが間もなく電話会談

プーチン大統領

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=AFP
 アメリカのドナルド・トランプ新大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が土曜日、28日にも電話会談する可能性がある。その議題は、シリア、対露制裁、核兵器…。ロシアNOWは、米露首脳がどんなテーマについて話し合うのか、専門家たちの予想をまとめてみた。

 1月27日、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は、プーチン大統領とトランプ新米大統領が早ければその翌日つまり28日にも電話会談する可能性があることを確認した。これは、トランプ大統領の就任式後初めての会談となる。前回二人が話したのは、昨年11月9日のことで、米大統領選勝利の直後だった。

 専門家たちは、露米首脳が合意できる、国際政治の主要な問題を数え上げた。もっとも、合意できるといっても、一回の会談でとは限らず、将来的にそうした可能性があるということだが。

 

1. シリア問題およびイスラム国との戦い

 トランプ大統領はこれまで再三、ロシアで禁止されている、イラクおよびシリア領内のイスラム国と戦う決意について語っており、その際にロシアと協力する可能性についても言及している。専門家たちの指摘するところでは、このテロリズムとの共同の戦いが、露米首脳の主要議題の一つになり得るという。

 ロシア高等経済学院政治学講座のレオニード・イサエフ上級講師は、トランプ大統領のこれまでの声明からみて、彼はシリアではプラグマティックに行動するつもりだろうという。

「トランプ大統領は、シリア領内に安全区域を作ることについて声明しているが、これは、12月に定式化された、ロシア、トルコ、イランによる影響圏分割と、事実上関連している」。イサエフ氏はロシアNOWにこう述べた。

 またイサエフ氏の考えでは、トランプ大統領のもとで米国は、クルド人の支配領域への影響力を保つことを優先し、アサド政権転覆あるいはイラン軍撤退を何が何でも目指そうとはしないだろうとのこと。

 

2. 対露制裁に関する政策

 対露制裁解除の問題は、トランプ大統領のもとで活発に話し合われている。例えば、同大統領はしばらく前に、この問題を核軍縮とリンクさせることを提案した。

 ロシアが、制裁解除の代償に、核削減に同意することはよもやあるまいが、こうした問題の提起の仕方は、政治学者でモスクワ国際関係大学教授のアンドレイ・スシェンツォフ氏の興味を引いた。

「米新政権は、対露制裁の問題を、ウクライナ危機およびクリミアの地位とは結び付けなくなった。これは、言うまでもなく、全体としては両国関係にプラスになる」。スシェンツォフ氏はこう語った。

 ところで、プーチン・トランプ会談の少し前にこんな噂が流れていた。対露制裁解除の大統領令が既にトランプ大統領によって準備されているというのだ。クレムリンは公式には、そんな情報は何も知らないと言っているが。

 

3. 核兵器とミサイル防衛

 露米両国間の戦略的安定の維持は、核兵器の分野も含めて、プーチン・トランプ会談におけるもう一つの重要なテーマだとセルゲイ・カラガノフ氏は考える。カラガノフ氏は外交防衛政策委員会名誉議長。

 同氏の見解では、露米両国は他の核大国とともに、核安全保障の分野で新たなアプローチをとるべきだという。「このアプローチは、核戦力の削減にも増強にも依拠せず、グローバルな現状維持に基づく」

 というのは、カラガノフ氏の意見では、こうしたアプローチこそが、核軍縮に関する新条約を結ぶ試みよりもはるかに世界を安定させられるからだ。こういう条約は、交渉が失敗に終わった場合には、オバマ政権のもとで起きたように、ただ関係を悪化させるにすぎない。

 

4. ウクライナと欧州安全保障の問題

 カラガノフ氏の考えでは、露米両国の大統領は、NATO(北大西洋条約機構)における米国の枢要な役割を考慮して、東欧でのロシアとNATOの対立状態をやめることで合意するかもしれない。

 カラガノフ氏によれば、それが可能なのは、トランプ大統領が前任者とは異なり、ウクライナとロシアの対立において、前者をあからさまに支持していないためだという。

「露米両国は、二国間関係に基づき、ウクライナを含む状況を凍結し、NATOとロシアの軍人間の接触、交流について合意しようとしている。このまったく不必要で、人為的に引き起こされた対立を解消するためだ」。カラガノフ氏はこう楽観的なシナリオを描く。もっとも同氏も留保をつけてはいる。この問題を解決するには時間が必要で、一回の会談で解決するのはもちろん無理な話だと。

 

5. 米国の刑務所に服役しているロシア人の運命

 トランプ大統領のもとで露米が妥協点を見いだせる問題がもう一つある。米国の刑務所に服役しているロシア人、ヴィクトル・ブット氏とコンスタンチン・ヤロシェンコ氏のことだ。

 ブット氏がバンコクで逮捕されたのち収監されたのは2008年のことで、武器の密売で告発された。ヤロシェンコ氏は、2010年にリベリア領内で、麻薬密輸のかどで告発。

 ロシアは再三、自国民の送還を要求しているが、今のところ不成功に終わっている。スシェンツォフ氏の指摘では、トランプ大統領はプーチン大統領とこうした状況について話し合い、彼らを故国に送還することが十分可能だ。そのために十分な権限をもっているからだという。

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