ロシアのプーチン大統領、ラブロフ外務相(左)、ショイグ国防相(右)、12月29日
=APロシアとトルコは、シリア内戦の新たな停戦の保証国となった。停戦には6万人以上の戦士を含む反体制派武装勢力が加わった、とロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は話した。停戦を支持しない戦闘員はテロリストということになる。シリア政府は、テロリスト以外のすべての人と対話する意向。
イランも合意を支持した。ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア、トルコ、イランの3ヶ国が平和を目指し、「多大な作業」を完了した、と話した。和平協議は1月後半、カザフスタンの首都アスタナで開催される見込み。
ロシアはシリアの紛争の平和的解決を模索する中で、アメリカと協力してきた。だが、どの和平の試みもうまくいかなかった。2016年9月10日に宣言された停戦合意は、1週間ももたなかった。
「アメリカには事実上、反体制派に影響を与える手段がなかった。この反体制派を、アメリカは穏健的と考えていたものの、実際には『ヌスラ戦線』のテロリストに同調していた」と、ロシア科学アカデミー東洋学研究所のイリーナ・ズヴャゲリスカヤ首席研究員は、ロシアとアメリカの協議がうまくいかなかった理由を説明した。トルコは、アメリカとは異なり、シリアの反体制派に対する直接的な影響力を持っているため、トルコとの協力はより効果的であるという。イランとロシアにも、軍事的、政治的同盟国の大統領であるアサド氏に対する影響力がある。
アラブ学者で経済高等学院政治学部の上級教授であるレオニド・イサエフ氏は、ロシア、トルコ、イランの3ヶ国の協力で達した和平合意が効果的になるかもしれないと考える。3ヶ国はシリアの内戦当事者に対して影響をおよぼすことができるし、歩み寄りが必要であることを認識している。
「どこも休止を必要としている。トルコは国内のひどく不安定な状況に直面しているし、シリア北部で作戦を行っている。イランはアサド氏を支援するために、非常に多くの金銭的資源と人的資源を投入した。ロシアにも一定の損失がある」とイサエフ氏。シリア政府にも、反体制派にも、内戦で勝つための資源がないことを背景に、ロシアおよび中東の主要国は内戦当事者に和平を促している。
プーチン大統領は合意の評価には慎重だ。「すべての合意は、我々も皆さんも十二分に理解しているように、非常にぜい弱である」と話した。専門家も同じ意見である。混乱したシリア情勢において、休戦を乱す要因はたくさんある。
ロシアとイランがアサド大統領を支持し、トルコが反体制派を支持しているという3ヶ国内の相違、またシリアにおける、国ではないプレイヤーを含む、他のプレイヤーの多さを、ズヴャゲリスカヤ首席研究員は指摘する。「武装勢力は予期せぬふるまいをする可能性がある。シリアの安定化に興味を持っていない者も多い」イサエフ氏は、停戦の合意と影響の範囲の決定が、どこよりもシリア北西部向きであると考える。ここには、アサド政権の支配領域と反体制派の支配領域に一定の境界が存在する。他の地域ではもう少し困難になるかもしれない。「例えば、現在『イスラム国(IS)』のいるシリア東部はどうするか。この領域を誰がコントロールするのか、誰がテロリストから奪還するのかがよくわからない」とイサエフ氏。
いずれの場合でも、協議に参加する者の輪を広げなければならない、とイサエフ氏。協議には、アメリカ、サウジアラビア、その他の中東の国を招く必要がある。
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