「日露の歴史的なチャンス」

 初めて日本を訪問中のワレンチナ・マトヴィエンコ上院議長は記者会見を開き、その中で、ロシアと日本は平和条約の締結に関心があり、現在、双方が受け入れ可能な条文の準備作業が行われていると述べた。さらに議長はロシアはクリル諸島において、ロシアの主権と法の下で、日本との共同経済活動を行う用意があると強調した。
Valentina Matvienko at Japan Parliament
日本の参議院で、ロシア上院(連邦会議)のヴァレンチナ・マトヴィエンコ議長(前列、中央)率いる代表団が、日本の国会議員と集合写真。前列右から3番目は伊達忠一参議院議長。=  ラミル・シトディコフ/ロシア通信

平和条約文書の策定が行われている

 マトヴィエンコ議長は記者団に対し、現在、安倍首相とプーチン大統領との首脳会談の際に達成できるような合意がまとめられつつあると明らかにし、12月15日に行われる首脳会談では、一連の合意文書に調印がなされるだろうとの期待を表した。またこれに関連してマトヴィエンコ議長は「現在、様々な分野における一連の新たな政府間合意文書の策定が進められている。我々はプーチン大統領訪日の際、その一部に調印がなされるものと見込んでいる」と明らかにした。

 また二国間の話し合いについてマトヴィエンコ議長は「二島返還や四島返還についての交渉は全く行われていない。その法的根拠がないからだ」と述べ、「クリル諸島に対するロシアの主権は争う余地のないものであり、見直すべき疑問の余地もない」と強調した。

 同時にマトヴィエンコ議長は、現在行われているのは両国が受け入れることのできる平和条約締結に関する協議であるとし、「すでに何度にもわたる一連の外務次官級の協議が行われ、ロシアにとって、また日本にとって受け入れ可能な条文の策定作業が粛々と進められている」と述べた。

 さらに議長は、このプロセスは時間を要するものであるとした上で、しかしながらロシアと日本の外交は「双方が受け入れることのできる妥協案を作り上げる力がある」との考えを示した。

 

ロシアはクリルで共同経済活動を行う用意あり

 ロシアはクリル諸島において、商業的な観点のものも含め、ロシアにとっても、日本にとっても有益となるような共同経済活動の枠組みに取り組む用意がある。しかしながら、これについて議長は「そうした経済活動はロシアの主権と法の枠内で行われなければならない。ロシアが四島に対する主権を放棄することはない」と強調した。また議長はロシア側がクリル諸島における経済活動分野で行い得る協力に関して、日本側に複数の提案を示したことを明らかにした。

 「我々はこうした提案について日本側と協議する用意があり、クリル諸島のみならず、全体として、極東、シベリア、サハリンでの大規模な共同投資プロジェクトをめぐる露日間協力を拡大することに関心がある。そして日本のビジネス界にもロシアとの相互作業、協力に大きな関心があるのを感じている」と述べた。

 

ロシアの地域と長崎との協力

 マトヴィエンコ議長によれば、日本政府代表者との間では両国の地域間協力の発展についても意見が交わされた。議長は3日に長崎を訪問する。これに関連してマトヴィエンコ議長は、長崎は協力発展に向けて大きな利益をもたらす大規模な産業地域だと指摘するとともに、この問題に関して長崎県知事と意見を交わしたい考えを明らかにした。

 またマトヴィエンコ議長は長崎の原爆資料館を訪問する計画であることを明らかにした上で、原爆投下について、「恐ろしい犯罪である。現代の言葉で言えば、人類に対する犯罪だ」と述べた。議長は、すでに第二次世界大戦がほぼ終戦を迎えていた1945年の8月に広島と長崎に原爆を投下する必要性は軍事的にもそれ以外にもなかったとの考えを示し、世界でこのようなことが二度と繰り返されないようにするため、「野蛮で恐ろしい犯罪」についての記憶を留めていくことが必要不可欠だと述べた。

 マトヴィエンコ議長は長崎のロシア人墓地にも訪れる予定で、「ロシアの海兵と軍人たちの記憶を大切に守ってくれた長崎県と日本政府に対し、感謝の意を表明したい」と述べ、「これは両国民の友情および我々が共通の記憶を持つことの説得力のある例だ」と語った。

 

歴史的チャンス

 今年3度目となる露日首脳会談は11月19日から20日にかけてペルーのリマで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)サミットで行われる予定となっている。マトヴィエンコ議長はこれについて、両国の外交機関が会談実施の可能性について意見を交わしていると述べた。

 議長は、「現在、ロシアと日本は両国の交流史における二国間協力の新たなページを開く歴史的チャンスを手にしている。このチャンスを逃さぬようあらゆることを行わねばならない」と強調した。

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