ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領=
ロイター通信ガス・パイプライン「トルコ・ストリーム」の政府間協定が結ばれた。
トルコ・ストリームの建設については、2014年12月にすでに合意しており、ガス・パイプライン「サウス・ストリーム」の代替プロジェクトとなるはずだった。ところが、ガス価格の割引、パイプラインの供給路の数、Su-24撃墜後の両国関係の急速な悪化、サウス・ストリームへの回帰とトルコ・ストリームの中止の思惑といった問題により、プロジェクトは延期され続けた。
今回の会談で両首脳が政府間協定に調印したことで、一旦進んだことが前進した。両国はさらに、プロジェクトの枠組みの中でのガス価格の割引についても合意した。
プーチン大統領は会談後、「このようにして、トルコに大きなエネルギー・ハブ(轂)を創設するというトルコ大統領の計画の実現に向けて、両国は進む」と話した。
Su-24撃墜後にロシアが発動した対トルコ経済制裁の一部解除が決定した。ロシア政府がトルコ産農産物をロシア市場に輸入することを許可したと、プーチン大統領は話した。
これは相互利益的な決定だという。制裁が解除されたのは、単核類と柑橘類。「ロシアでこれらの農産物はつくられていない。ロシア市場にトルコ産が入ることで、これらの農産物の価格がさがる可能性があり、それを期待している」とプーチン大統領。
経済協力以外に、シリア問題についての話し合いが行われた。ロシアにとっても、トルコにとっても、シリア問題は外交政策の最重要問題となり続けている。
両国は物理的にシリア紛争に関与している。ロシアは、ロシアで禁止されているイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員に対する空爆を行っており、トルコはシリア北部で「ユーフラテスの盾」作戦という対IS越境掃討作戦を行っている。ただ、トルコは、政府の承認にもとづいて、「クルディスタン労働者党」(トルコ政府が1984年から戦っているクルド人分離独立組織で、トルコ、アメリカ、EU諸国にテロ組織と認定されている)と関係のあるシリアのクルド人の下部組織の掃討も行っているが。ロシアとトルコの立場には大きな違いがある。それはロシアがアサド政権を支持し、反政府武装組織に空爆を行っている一方で(この組織は、正常化プロセスに加わろうとせず、ロシアの観点からはテロ集団とみなされている)、トルコは反政府勢力を支持し、アサド政権をテロ政権と呼んでいる。「現代トルコ研究センター」政治方面責任者のユーリ・マワシェフ氏はこう話す。「エルドアン大統領が8月にサンクトペテルブルクを訪問した際、ロシアとトルコは『ユーフラテスの盾』作戦の実施について話し合いをまとめていた。ロシアはトルコがシリアで作戦を始めた際、ほとんど感情をあらわさなかった」。ロシアとトルコの間には、互いに干渉しないという暗黙の了解があるのだという。プーチン大統領の今回の訪問で、相互不干渉が確認され、強化された。「トルコの高官もマスコミもロシアのアレッポへの関与について沈黙している。それぞれに指令が出ている。ロシアはシリア北部をこちらに与えているのだから、こちらはアレッポとは無関係だと」とマワシェフ氏。
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