プーチンがもらったプレゼント

安倍晋三首相が5月8日、ロシア・ソチの大統領公邸でプーチン大統領と会談した際、秋田県の佐竹敬久知事が大統領に贈った秋田犬「ゆめ」が一緒に玄関先で出迎えた。

安倍晋三首相が5月8日、ロシア・ソチの大統領公邸でプーチン大統領と会談した際、秋田県の佐竹敬久知事が大統領に贈った秋田犬「ゆめ」が一緒に玄関先で出迎えた。

ミハイル・クレメンチエフ撮影/ロシア通信
 大統領、首相、大統領と歴任してきたプーチン氏は、誕生日に、または外交の場で、一体どんなプレゼントを受け取ってきたのだろうか。ロシア・ビヨンドがふりかえる。

APECで歌、酒、ケーキを

 プーチン大統領は自身の61回目の誕生日(2013年)を、インドネシア・バリ島のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で迎えた。議長国のインドネシアは、最高レベルで祝福することを決め、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領自らがギターを手に取り、世界的かつ全時代的な定番曲「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」を演奏し、うたった。APECサミットに出席していた、中国の習近平主席、韓国の朴槿恵大統領なども、一緒にうたい、手拍子をした。

 プーチン大統領はユドヨノ大統領にインドネシア語で礼を言い、素晴らしい歌だったと感想を述べた。

 また、プーチン大統領は、安倍晋三首相から酒を、習主席からケーキを贈られた。記者団から安倍首相の酒を試飲したかと聞かれたプーチン大統領は、「私をここで酔っぱらわせたいのかい?おかげさまで、今は自分をコントロールできる状態を保っている。酒は後、モスクワでのお楽しみ」と答えた。

 

安倍首相から侍の兜を

「東方経済フォーラム(EEF)」(ウラジオストク、2016年9月2~3日)の場でプーチン大統領と会談した安倍晋三首相は、侍の兜をプレゼントした。プーチン大統領は礼に、ロシアに所蔵されていた、1928年の昭和天皇の「即位の礼」の際に使用された12口のうちの1口の刀を安倍首相に贈った。会談に同席した世耕弘成経済産業相は、「安倍首相には仕事の場で刀を使わないようにしてほしい」とジョークを言い、笑いを誘った。

 

バーレーン国王から剣を

ハマド・ビンイーサ・アルハリファ国王が2016年2月にモスクワを実務訪問した際、ダマスカス鋼の剣「勝利の剣」という特別なプレゼントを持参した。=ミハイル・クレメンチエフ撮影/ロシア通信ハマド・ビンイーサ・アルハリファ国王が2016年2月にモスクワを実務訪問した際、ダマスカス鋼の剣「勝利の剣」という特別なプレゼントを持参した。=ミハイル・クレメンチエフ撮影/ロシア通信

 ペルシア湾の小さな島国バーレーンは、中東のどこの国もそうであるように、プレゼントのステータスを熟知している。そのため、ハマド・ビンイーサ・アルハリファ国王が2016年2月にモスクワを実務訪問した際、柄に貴金属があしらわれたダマスカス鋼の剣「勝利の剣」という特別なプレゼントを持参した。

 アルハリファ国王からプレゼントを渡されると、プーチン大統領は礼にアハルテケ種のサラブレッドを贈った。剣と馬のプレゼント交換は、中世に影響力のある人々の間で行われていた。

 

メルケル首相から時計を

アンゲラ・メルケル首相とウラジーミル・プーチン大統領=EPA / Vostock-photo撮影アンゲラ・メルケル首相とウラジーミル・プーチン大統領=EPA / Vostock-photo撮影

 ドイツで2013年に行われた国際産業技術見本市「ハノーバー・メッセ」の開会式で、アンゲラ・メルケル首相はカッコーと国章の鷲の模様のある時計をプーチン大統領にプレゼントした。

 

秋田県知事などから動物を

プーチン大統領は2005年に競馬が開催された際、世界最小の馬種ファラベラを受け取った。体長はわずか57センチ。=ウラジーミル・ラディオノフ撮影/ロシア通信プーチン大統領は2005年に競馬が開催された際、世界最小の馬種ファラベラを受け取った。体長はわずか57センチ。=ウラジーミル・ラディオノフ撮影/ロシア通信

 プーチン大統領はこれまで、馬、犬、トラなどのプレゼントを受け取ってきた。中央アジアの国(キルギスおよびトルクメニスタン)の知事や大統領から馬を、またヨルダンの国王アブドラ2世からは一度に3頭の馬を贈られた。また、2005年にタタールスタン共和国の行政中心地カザンで競馬が開催された際、世界最小の馬種ファラベラを受け取った。体長はわずか57センチ。ヴァジクと名づけられた。

 初めての犬は、2000年に当時ロシア連邦非常事態相で現国防相のセルゲイ・ショイグ氏からプレゼントされている。コニーという名のこのラブラドールは2007年、メルケル首相に近づいてびっくりさせた。2010年、ブルガリアの首相から子犬のバフィーが贈られた。

秋田犬のゆめとブルガリアから贈られたバフィーの2頭の犬と戯れるプーチン大統領。= アレクセイ・ドルジーニン撮影/ロシア通信秋田犬のゆめとブルガリアから贈られたバフィーの2頭の犬と戯れるプーチン大統領。= アレクセイ・ドルジーニン撮影/ロシア通信

 秋田県の佐竹敬久知事は2011年、同年3月に東北地方で大規模な地震と津波が発生した際、ロシアが被災地を支援したことへの礼として、秋田犬のゆめをプレゼントした。プーチン大統領は礼に、シベリア猫のミールを佐竹知事に贈った

アレクセイ・ニコルスキイ撮影/ロシア通信アレクセイ・ニコルスキイ撮影/ロシア通信

 国内で2008年の誕生日、当時首相だったプーチン氏に、ウスリートラが贈られた。プーチン氏はこれを最も変わった誕生日プレゼントだと言った。今のところ、クマをプレゼントしようという人はいないようだ。おそらく、ボリス・エリツィン氏がクマをもらった際に、あまり喜んでいなかったことが原因だろう。エリツィン政権時代にクレムリンの儀典長を務めていたウラジーミル・シェフチェンコ氏は、当時の反応をこう振り返る。クレムリンにプレゼントのクマがいることを知ったエリツィン氏は、「頭おかしくなったの?」と聞いたという。

 

「平和の空の鍵」

 プーチン大統領は2016年3月、ニジニ・ノヴゴロドで新たに開業した、地対空ミサイル・システム(S-400、生産予定のS-500など)向けのコンポーネントを製造する工場を視察に訪れた。この際、外国の航空機を検知するレーダー基地「ネボM」(ネボとは空の意)の稼働用の鍵のコピーを受け取った。

ミハイル・クレメンチエフ撮影/ロシア通信ミハイル・クレメンチエフ撮影/ロシア通信

 防衛ホールディング「アルマズ・アンテイ」(これはアルマズ・アンテイの工場)の最高経営責任者はプレゼントを渡しながら、「これは平和の空の鍵」と言った。すると、プーチン大統領は、「平和の空の鍵は神のもとにしかない。これは役に立つね」と冗談を言った。

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