アンカラ、トルコ、7月 20日=
ロイター通信7月20日の晩、一部のメディアは、ロシアの諜報機関がトルコの大統領に軍事クーデターについて警告し、そのおかげで同大統領は命を救われ権力を保持できた、と報じたが、エルドアン大統領へのロシアの助力に関する報道の信憑性は、定かではない。
エルドアン氏の勝利へのロシアの関与に関する説を報じたメディアは、主として一連のアラブのマスコミ(とりわけ、スーダンのアルスーダン・アルヨウム(Al Sudan Al Youm))の情報に依拠するイランの大手通信社ファルス(Fars)の情報を引用している。アラブのメディアは、情報源として匿名のトルコの外交官らを挙げている。
メディアが報じた説によれば、シリアのフメイミム基地を拠点とするロシアの軍事諜報機関は、軍部の無線通信を傍受し解読することができた。クーデターの首謀者らは、エルドアン大統領を拘束するか暗殺するために同氏が滞在するマルマリスのホテルへ数機のヘリコプターを差し向けようとしていた。ロシア国防省は、彼らのそうした計画に関する情報をトルコ国家情報機構(MIT)へ伝え、エルドアン氏は、そのおかげで難を逃れて主導権を握ることができた、という。
エルドアン氏の勝利へのロシアの関与に関する報道とほぼ同時に、トルコの大統領は、カタールのテレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)へのインタビューで、異なる説を唱えた。同大統領によれば、クーデターの企てについて同氏に最初に伝えたのは、娘婿であった。同氏は、その情報を俄かには信じられなかったが、MITの長官との話し合いの後、策を講じることに決め、同氏は、ヘリコプターで家族とともにマルマリスを後にしてイスタンブールへ向かった。
先に、トルコ軍の報道係は、計画されていた軍事クーデターについてはMITの特務機関が7月15日16時(クーデターの試みが始まる5時間ほど前)に把握した、と発表した。情報源については、何も伝えられず、トルコ当局は、クーデーター鎮圧へのロシアの関与に関する説をコメントしなかった。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ロシア諜報機関がエルドアン大統領にクーデター計画について警告したとの情報は、自分の手元にはないと述べた。
同氏は、メディアが報じた噂の真偽にかかわらず、そうした噂が流れたこと自体、ロシアとトルコの関係改善を物語る重要なシグナルてある、とし、「政治的ゲームが行われており、そうした報道もゲームの一部であることは十分に考えられる。そうした噂の流布は、両国の関係が改善しており本格的な協力がすでに行われていることを示すための好い一歩である」と述べる。
さらに、同氏は、エルドアン氏は、ロシアとの関係改善を必要としており、そのためにできるかぎりのことをしている、とし、「エルドアン氏は、ロシアの飛行機[2015年11月24日にシリア上空で撃墜されたSu-24戦闘爆撃機]を撃墜した二人のパイロットに関する調査が行われている、とすでに声明した。これは、示威的な一歩である。現在、エルドアン氏は、西側から孤立しており、ロシアとの協力を必要としている」と語る。
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