ウラジーミル・プーチン大統領とレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領=
APクレムリンが6月27日に明らかにした、エルドアン大統領からのプーチン大統領宛ての書簡には、2015年11月末にシリア上空でSu-24が撃墜された件をめぐる謝罪があった。
「Su-24の一件の後、トルコはその外交政策で、EUとロシアの対立を巧みに利用しながら、この問題での『同盟国』を見つけようとしていた」と、ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所国際安全センターのアレクセイ・アルバトフ所長は、ロシアNOWに話した。
トルコ政府は自国の政治経済状況により、その立場を変えることを余儀なくされたという。金融危機、ロシアとの関係の断裂は、国家予算に極めて悪い影響をおよぼした。
「これに難民問題が加わった。ヨーロッパへの移民難民の流れの抑制、それに対するトルコへの支援金の支払い問題、また移民難民の流れとトルコのEU加盟の可能性も影響したイギリスのEU離脱、それらすべての結果としての、EUとの不和」とアルバトフ所長。
ロシアとの関係が改善すると、当地の安全保障を強化し、今日直面している問題の一部を解決できると、トルコの政治学者ハカン・アクサイ氏は考える。
トルコはここ半年で、クルディスタン労働者党の戦闘員から一連のテロ攻撃を受け、さらに国内の人権侵害と性的少数派の問題で、非難を浴びている。
「これに関連して、エルドアン大統領は前線の少なくとも1本の状況の緩和を目指し、さらにロシアとの共同プロジェクトの早期再開に期待をかけて、謝罪した」とアクサイ氏。
アルバトフ所長によると、これらのプロジェクトには、観光の再開、農産物の禁輸制裁の解除、トルコ南部での200億ドル(約2兆円)規模の原発建設の継続、ガス・パイプライン「トルコ・ストリーム」などがあるという。「ロシアはトルコに飛びついて抱擁することはなく、一定の間を置いている。トルコとの対立を段階的に緩和していくだろう」とアルバトフ所長。
謝罪の書簡はロシアおよびロシアとの協力関係を望む国々の政治的勝利だと、ロシア国立研究大学「高等経済学院」世界経済・世界政治学部長であるセルゲイ・カラガノフ氏は考える。
「両国の対立は中東および中東の復興プロセスにダメージを与えた。ロシアとの和解の決定の機はかなり前に熟しており、トルコ政府内で議論になった。トルコが正しくないことが明らかな問題での対立は、どこの利益にもかなわなかった」とカラガノフ氏。
両国の関係正常化で重要な役割を担っているのがイスラエルだと、トルコ・カフカス戦略研究センターのハサン・オクタイ氏は考える。「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のモスクワ訪問を、ロシアとトルコの関係正常化の出発点と考えることができる。トルコがイスラエルと合意したのと同じように、トルコ政府は今、犠牲者の家族への補償について、ロシア側と交渉を始める必要がある。ロシア、イスラエルとの関係正常化は、当地の平和と安定のために不可欠」とオクタイ氏は話す。
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