アメリカとアレッポ停戦で合意

シリアのアレッポ周辺、2016年2月27日=

シリアのアレッポ周辺、2016年2月27日=

ロイター通信
 ロシアとアメリカは、シリア北部の大都市アレッポの停戦の強化について合意した。アレッポではここ数週間、シリア政府軍、反体制派、イスラム過激派の戦闘が激しくなっていた。停戦は5日から48時間とされている。

 ロシアとアメリカの合意にもとづき、アレッポでは5日から停戦状態に入った。現地からの報告によると、現在は「比較的穏やか」だという。

 シリアで停戦が宣言されたのは2月27日だが、アレッポ周辺では戦闘が続いていた。シリア政府はこれについて、イスラム主義者に対抗しなければならないと説明していた。

 この地域では、停戦に加わっていない武装組織「アル・ヌスラ戦線」のジハーディスト(聖戦主義者)が優勢である。同時に、シリアのバシャール・アサド大統領に反対する勢力や欧米諸国は、シリア政府軍が世俗的な反体制派と戦っているとして、非難していた。

 ヴィタリー・チュルキン・ロシア国連大使が4日に開催された国連安保理のアレッポ情勢関連会議で報告したところによると、アレッポの停戦については3日に合意していた。だが、反体制派がシリア政府の管理下にあるこの地域で空爆を行うなど、完全な停戦にはいたれていないという。

 アレッポはすでに何年も、紛争当事者間で分割されている。西部は政府軍の管理下にあり、残りの領域は反体制派とジハーディストによって制圧されている。ロシア政府とシリア政府の発表によると、反政府派とアル・ヌスラ戦線の戦闘員のアレッポの陣地は密接にからみあっており、過激派だけを攻撃するのが困難になっているという。

 

陣地がからみあっている

 ロシア経済・国家行政アカデミーのアジア専門家であるセルゲイ・デミデンコ氏は、ロシアNOWの取材に対し、実際に陣地は複雑にからみあっており、誰がどこにいるかわからないことが多いと話した。戦闘に加わっている者が多すぎるのだという。シリア政府軍、イスラム主義者の組織と反政府派の組織、またさまざまな民族・宗教組織の部隊がいる。そして紛争当事者のすべてに独自の活動構想があり、他の組織と調和することはめったにない。

 このような複雑な状況があるため、停戦期間が短期に設定されるのだという。アレッポが混沌としている限り、これ以上の期間の何かについて合意するのは不可能なのだ。同時に、アレッポでは、シリア全体の状況と同様、世俗的かつ穏健的とされている自由シリア軍の反体制派の陣地が弱い、とデミデンコ氏は説明する。イスラム主義者の影響の方がはるかに強い。さらに、自由シリア軍はあまりまとまっていない組織なのだという。自由シリア軍は複数のイスラム主義集団を含むスカスカの塊で、これが合意を妨げている。 

 

アメリカを利用しようとしているのは

 欧米は停戦合意を歓迎した。アメリカのジョン・ケリー国務長官は、合意を政府と反体制派の双方が守ることへの期待を表明している。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイアー外相は、アレッポの停戦がジュネーブでのシリア政府と反政府派の和平協議再開に向けた良い基盤になると話した。和平協議は現在、中断されている。

 ロシアはアレッポの件を評価しつつ、シリア情勢の解決に関わっている一部の参加者の考えが必ずしも純粋ではないと疑念を示した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、アメリカはロシアとアレッポの停戦について協議する中で、ヌスラ戦線の陣地の大部分を覆うように停戦領域の境界を定めようとしていたという。これを受けて、誰かが「ヌスラ戦線を攻撃にさらさないように」アメリカを利用しようとしているのではないかと指摘した。ラブロフ外相は、トルコと、ロシアで禁止されている過激派組織「イスラム国(IS)」、アル・ヌスラ戦線との「良からぬ関係」に関する情報に触れながら、背景にトルコがいる可能性を示唆した。 

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