日本の観光業界、沿海地方に熱い眼差し

ウラジオストク市=

ウラジオストク市=

アレクセイ・クデンコ/ロシア通信
 日本の観光業界がロシア沿海地方当局との間で情報交換及び同地方の新たな観光ルートの策定について合意した。

 日本の当局及び旅行会社、並びに日本旅行業協会(JATA)の代表者らが今月初頭、沿海地方当局の代表者と一連の会合を持ち、数日かけて沿海地方の観光名所を視察した。沿海地方観光局長コンスタンチン・シェスタコフ氏が発表した。

 結果、情報交換に関する合意が結ばれた。「当方の責任者を務めるのは沿海地方観光情報センターだ。同センターは当地の観光ルートに関する質の高い写真、映像、文字資料を作成した。日本からの来客たちは『日本から一番近いヨーロッパ』への観光旅行を発展させる意向を示した」とシェスタコフ氏。

 

来客たちは何を語ったか

 大手旅行会社JTBコーポレートセールスを代表して今回の訪問に参加した沖野三郎氏は、可能な限り多くの日本人にロシアを知ってほしい、と話す。「ロシア政府はロシア極東の開発に多大な努力を払っている。複合遊興・保養地区『プリモーリエ』、マリインスキー劇場の沿海地方ステージといった施設が相次いで出現している。我々も新しい観光資源を見つけに今回やって来た」と沖野氏。

 20年以上にわたりウラジオストク及びハバロフスクへのツアーを組織しているロシア旅行社の添田恵美子氏も、「ロシアへの個人旅行への関心が高まっている」と指摘する。「当社は世界各地への個人ツアーの策定を行っており、すでに沿海地方へのツアーも存在する」という。

 

沿海地方の日本人ツーリスト誘致計画

 コンスタンチン・シェスタコフ氏によれば、日本は沿海地方にとって戦略的に重要な市場である。「毎年日本からは百万単位のツーリストが世界を旅しているのに、ロシアにはたった10万人程度しか来ておらず、米国や中国に行く人のわずか20分の1となっている」とシェスタコフ氏は嘆く。日本人が主に訪れるのはモスクワとサンクトペテルブルク。沿海地方は日本からほとんど1時間の距離だというのに、今年の9か月間で当地を訪れた日本人ツーリストはたった7000人だ、という。「旅行者の流れをロシア極東に引き込みたい。我々には高度にプロフェッショナルな観光商品をお届けすることができるのだから」

 シェスタコフ氏はまた、先日東京で開かれた国際観光展ツーリズムEXPOジャパンでも、日本が沿海地方に寄せる関心が高まっていることが示された、と指摘する。特に関心が集まったのは文化ツーリズム及び歴史ツーリズム、マリインスキー劇場の沿海地方ステージ、並びに、「タイガー・クウェスト」マップや情報冊子「パスポート・プリモーリエ」「イージー・トラヴェル・ペーパー」といった観光情報センターの独創的な刊行物だという。

 

日本の沿海地方観光奨励策

 日本政府は今年9月の第2回東方経済フォーラム後、観光地としてのロシア極東に目を向けるよう、市民に呼び掛けている。同フォーラムでは安倍首相がプーチン大統領に対し、ともにウラジオストクを現代的で快適な街に変貌させよう、と訴えた。

 「プーチン大統領はウラジオストクを自由港とし、ウラジオストクに往年の、真の国際都市としての面目を取り戻させたいと思っておいでなのでしょう。プーチン大統領のそんな夢は、今や私の夢でもあります。ここは理想的な場所です。革命前の建築物、ソヴィエト時代の特徴あるデザイン、それに現代の意匠が入り混じっている。それらが海や丘と隣り合っている・・・」。フォーラムで安倍首相はこのように述べた。

 

現状では誰が、どういう目的で沿海地方に来ているか

 沿海地方を訪れる外国人ツーリストの中で多数を占めているのは中国、日本、韓国といった近隣諸国だ。日本人が渡航に二の足を踏む理由には「観光インフラや質の高いサービスの欠如」がある、と考えられている。日本人がしばしば訪れるのは、主に沿海地方に、一部は隣のハバロフスク地方に残っている、関東軍の兵士や、近親者の墓地だ。こうしたいわゆる「ノスタルジー・ツーリズム」が沿海地方を訪れる日本人の70%までを占めている。残りの3割はビジネス・ツーリズムおよびエコロジー・ツーリズムだ。

 しかし日本政府は経済協力強化の枠内でロシア極東への渡航を奨励するよう国内の旅行会社に呼びかけを行っている。専門家によれば、巡洋ツーリズムが発展すれば、この方向性に大きな展望が開ける。

 「今回は飛行機でやって来ました。しかしこの街では、港がその玄関です。海から見ると一際美しいといいますから、ウラジオストクは本来なら、船で来るべき街なのかもしれません」第2回東方経済フォーラムで、安倍首相もこのように語っている。

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