ロシア産業貿易省のグレプ・ニキーチン第一次官=
ラミル・シトディコフ/ロシア通信ニキーチン次官によれば、安倍首相が提示した計画はすでに具体的な担当部局間の作業計画としてまとめられたという。ニキーチン次官は、経済産業省の片瀬博文審議官との会談終了後、記者会見を開いた中で「これは鎖の輪のひとつであり、我々が新たなレベルでスタートした作業を継続するものだ」と述べた。
またニキーチン氏は、東京では産業に関するワーキンググループによる第2回目の会合が開かれ、その中で産業分野における露日協力の3つの方向性について意見が交わされたことを明らかにした。
ニキーチン次官によれば、3つの方向性のうちの1つは日本のエキスパートをロシア企業に派遣し、労働生産性向上のための日本のノウハウを導入するというもの。現在、33のロシア企業が受け入れ先の候補に上がっており、11月末にこの中から12社が選ばれることになっている。これについてニキーチン氏は「この発案は協力のための促進剤となった」と指摘した。
2つ目の方向性として、両者は日本の自動車メーカーの部品の生産を行っているロシアのスペシャリストを日本で教育する案件について意見を交わした。ニキーチン次官は「自動車部品を含む輸出に我々が焦点を当てていることを考慮すれば、技能のあるスペシャリストの数を増加することが重要だ」と語った。また対象となる企業および研修生のリストは同じく11月末までに作成されると述べた。またニキーチン氏は3つ目の方向性が露日の企業間での具体的なプロジェクト実現に関する話し合いであるとし、「潜在的なプロジェクトの数と成長点を増やすため、我々は日本とロシアの企業がB2B(企業間)形式での会合を行えるようにするためのビジネスイベントを保障する」と述べた。これに関連し、今日、東京では日本企業が興味を持つようなロシアのプロジェクト案についてプレゼンテーションが行われた。しかしながら次官は、具体的なプロジェクト内容については明言を避けた。
ニキーチン氏によれば、ロシアと日本の産業協力においては、現在、「付加価値を生むこと」と、両者が「共同の製品で第三国の市場に進出すること」に重点が置かれているという。
次官によればこれらのプロジェクトは無線工学分野および設備の製造を含むハイテク分野でのプロジェクトだとのこと。
一方、露日協力プロジェクトの総額について次官は、総合的なリストはまだ流動的なもので、総額を試算するのは時期尚早だとの見方を示し、「当然すべてのプロジェクトが実現されるわけではない。よって、少なくともMOU(基本合意書)の段階にあるプロジェクト、またはすでに契約に署名された案件のみを評価するにとどめておく必要がある」と語った。また次官は現在さまざまな段階で協議が進められているすべてのプロジェクトの総額を挙げれば「誤解を招く可能性がある」と述べた。
これより先、日本のメディアは潜在的協力の総額は1兆円を超えると伝え、極東発展省は1兆ルーブル(約1兆6000億円)との評価を公表していた。これについてニキーチン氏は「聞こえてくる数字は限界を超えているとは思わない。完全に現実的な数字だ」と述べた。一方、全体のリストに含まれるプロジェクトの数について次官は、およそ100に上るとし、その中には産業ラインに関するものが数十件含まれると明らかにした。
ニキーチン次官は会見の最後に、現在直面しているもっとも困難な問題として共同プロジェクトの数が劇的に増加していることを指摘した上で、「そのために時間が必要となっている。しかしこの問題は解決不可能なものではない」と強調した。
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