イタリア首相マッテオ・レンツィ氏とロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏=
ミハイル・メツェル撮影/タス通信SPIEFの参加者は、158億ドル(約1兆6450億円)の契約を締結した。このような暫定データを発表したのは、SPIEF組織委員会のアントン・コビャコフ事務局長。最終的な数字は後に公開される。ロシア通信がこのように伝えている。
SPIEFで結ばれた契約は、公開されている分だけでも332件。昨年のSPIEFでは205件、45億ドル(約4680億円)であったため、金額は3倍に増えていることになる。
SPIEFでは、ロシアとイタリアの企業だけでも13億ドル(約1350億円)の契約を結んでいる。
SPIEFには欧米の企業もアジアの企業も関心を示していたという。今年はアメリカの「エクソンモービル」およびイタリアの「エニ」の社長らが出席。「アリババ」の創業者の馬雲氏は2年連続で出席した。経済人以外では、ジャンクロード・ユンケル欧州委員長、国連の潘基文事務総長、イタリアのマッテオ・レンツィ首相、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領なども出席した。
ちなみに、昨年はギリシャのアレクシス・チプラス首相が出席して話題になった。ロシアからの融資に関する協議を行った。ウクライナ情勢を受けて、欧米が対ロシア経済制裁を行っていたため、去年はSPIEF開催を危ぶむ声もあがっていた。
今年のSPIEFの主な議題は技術革新。ウラジーミル・プーチン大統領の総会でのあいさつ、また円卓会議の多くで、このテーマが中心になっていた。
技術革新の導入は、政治のガバナンスモデルにかかわらず、経済成長の効果をもたらすと、ロシアの大手国営銀行「ズベルバンク」の総裁で元経済開発貿易大臣であるゲルマン・グレフ氏は、分科会「変化か死か」で話した。いかなる政治体制の条件にあっても、労働生産性を高め、ガバナンスの質を向上させることに重きを置くことは可能なのだという。
ロシアの大手IT企業「ヤンデックス」はすでに、製鉄工場を自動化していると、創業者のアルカジー・ヴォロシュ氏は話した。アメリカ系コンサルティング会社「マッキンゼー」の試算によると、製鉄業に最新技術を導入することで、年間1150億ドル(約11兆9600億円)の効果を得ることが可能で、うち200~400億ドル(約2兆800億~4兆1600億円)は生産性の向上、150億ドル(約1兆5600億円)は資源節約だという。
より大規模な革新をロシアで導入するために、2つの新しい機構ができることが、SPIEFで明らかになった。一つ目の技術開発局は、国内に最高の実績を受け入れる技術移転を専門とする。環境基準を満たす、最善の技術を適用する義務が大企業に課せられる。技術開発局はロシア企業が外国企業と合弁企業を設立する際に支援を行う。ロシアを支援する用意があるのはドイツ企業。SPIEFのロシアとドイツの分科会でこれが明らかになった。ドイツの企業「SAP」はすでにロシアの国営ガス大手「ガスプロム」と活動しており、今後の計画には、ロシアの新興企業の支援もある。
二つ目の戦略開発大統領会議は、国内の大規模な改革の「プロジェクト・オフィス」になる。プーチン大統領自らがこの機構の指揮を執り、ドミトリー・メドベージェフ首相が副議長になる。プーチン大統領によると、会議は経済のさまざまな部門で労働生産性を高める取り組みを行う。このような会議の創設を、昨年のSPIEFでグレフ総裁とイギリスのトニー・ブレア元首相が提案していた。グレフ総裁はこの時、記者団から質問を受け、議長になるつもりはないと話していた。経済紙「RBC」によると、戦略開発大統領会議は2018年の大統領選でプーチン氏の選挙のプラットフォームになる可能性がある。
2008年に、メドベージェフ氏にとってこのようなプラットフォームになったのが、住宅建設、保健、教育、農業の、4つの優先分野における、いわゆる「国家プロジェクト」である。
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