2月中旬から3月下旬までに、北海ブレント原油の価格は1バレルあたり約30ドルから約40ドルへと上昇した。専門家によると、これはロシアの行動によるところが大きいという。ロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラの主要な産油4ヶ国は2月、原油生産量を1月の水準に凍結することで合意。ロシア政府の呼びかけで署名が行われた。その後、エクアドル、アルジェリア、ナイジェリア、オマーン、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)も凍結の用意を表明した。次の産油量の凍結に関する会議は、カタール・ドーハで4月14日に行われる。
「この原油価格の上昇がロシアの外交活動の成果であることは間違いない。主要な国を産油量の凍結に向かわせた」と、ロシア経済・国家行政アカデミーのイワン・カピトノフ准教授は話す。イランやアメリカがロシアのイニシアチブに応じなかったにもかかわらず、この凍結は効いているという。
実際には、凍結だけでなく、減産になっているのだという。OPEC加盟国は2月、1日あたり17万5000バレル減産したと、ロシアのFX会社「MFXブローカー」の専門家・アナリスト、アレクサンドル・グリチェンコフ氏は話す。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、OPECに加盟していない国の産油量は、2月に1日あたり9万バレル減った。
「ここ1ヶ月半で原油価格は大きく上昇した。この流れには、複数の主要な要因が根本的な影響をおよぼしている」と、分析共同体「シータトレーディング」のドミトリー・エデルマン理事は話す。まず、アメリカで、シェールオイルの採算低下によって産油量が減った。次に、主な産油国であるロシアとOPEC加盟国の間で生産的な協議が行われたことだという。
今後も価格が上昇していくには、以前の水準での産油量凍結は不十分だという。「この良いニュースはすでに、金融市場で消化された」とカピトノフ准教授。原油価格のしっかりとした上昇には、新しい要因が必要だという。具体的には、現実的な減産、ドル安、または中国の需要増など。また、産油量凍結に他の国が加わらなければ、1バレルあたり50ドル以上にはならないだろうと、カピトノフ准教授は話す。
これは、アメリカの多くの企業が、この価格でも石油採掘への投資を拡大しようとしていることと関連している。ロシアの大手証券会社「フィナム」のアナリスト、アレクセイ・カラチョフ氏によると、1バレルあたり40~50ドルでも、アメリカの石油企業は増産し、市場から他の生産者を追いやるという。このような条件で、減産した国は、市場で一部シェアを失う。
アメリカ系金融会社「シティグループ」の関係者によると、イラクとナイジェリアの2本の石油パイプラインが止められたことも、価格の上昇の要因になったという。これらは5月に再開される予定で、世界での供給が再び増えることから、原油価格が下落に転じる可能性もある。
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