海外の航空会社がロシアに回帰

Vostock-Photo撮影
 海外の航空会社がロシアに戻っている。専門家は主な理由として、ロシア経済が徐々に安定してきていること、ロシア第2位の航空会社「トランスアエロ」が市場から撤退したことをあげる。

 アメリカの航空会社「デルタ航空」は、ロシア便を5月16日に再開する。同社ロシア支店のレオニド・タラソフ支店長のこのような発表を、タス通信が伝えている。デルタ航空は昨年12月、定期便の運航を停止していた。

 デルタ航空は今のところ、具体的な運航率の試算を行っていない。北米方面への今年夏の購買力にもとづく需要によって、すべてが変わってくる。「ここ2年のルーブル安と現在の為替レートの安定は、海外からのロシアへの旅行をより魅力的にしている」と説明するのは、ロシアの大手証券会社「フィナム」のアナリスト、アレクセイ・カラチョフ氏。デルタ航空が今のところ、長期計画ではなく、季節的な便の再開について発表していることが、それを間接的に証明しているという。

 

これまでの経済

 デルタ航空以外にも、秋にロシア便の再開を予定しているのは、「タイ航空」。タイの英字新聞「ネーション」がこれを伝えている。タイの観光の繁忙期が始まる10月の再開になる。

 近々ロシア便を増便することを予定しているのは、チェコの大手航空会社「チェコ航空」。ロシアの経済紙「コメルサント」がこれを伝えている。

 「ロシア経済・国家行政アカデミー」経済研究所のエミリ・マルチロシャン准教授は、「外国の航空会社の回帰は予想内の現象」と話す。その理由は3つ。

  1. 政治的状況の悪化があっても、国際的に重要なロシアの旅行地には満たしきれていない需要がある。
  2. 外国の航空会社は、ロシアを大陸間輸送のトランジットエリアとして使っている。
  3. 海外の経済界は、いぜんとして、ロシア各地に関心を持っている。

 「ロシア経済で示された一部安定化は、外国の企業にすでに底打ち感を与えている」とカラチョフ氏。例えば、チェコ航空は4月末、首都プラハから、カザン(タタールスタン共和国の行政中心地)とウファ(バシコルトスタン共和国の行政中心地)への運航を始める。

 

市場のシェア争い

 ロシアの国内市場の空きも、海外の航空会社を引きよせている。モスクワ発ニューヨーク行きの直行便を運航しているのは、ロシアの国営航空会社「アエロフロート」のみである。アエロフロートによると、昨年のアメリカ便の売上高は25.1%増の198億ルーブル(約297億円)に達した。

 マルチロシャン准教授によると、トランスアエロの市場撤退がこれに影響したという。アエロフロートの国内のライバルだったトランスアエロは昨年10月1日、航空券を販売できなくなり、その後資金的な問題で運航を停止した。トランスアエロの負債総額は2600億ルーブル(約3900億円)ほどだったとみられている。

 マルチロシャン准教授によると、国内市場の空きを、まずアエロフロートが占有し、海外の航空会社は一部になりそうだという。「海外の航空会社は以前の自社のシェアを完全に取り戻すことはできないだろう。潜在的な利用者の購買力はそれほどすぐには回復しないため」とカラチョフ氏。それでもロシア市場に戻る海外の航空会社は一定のシェアを取れるという。

 デルタ航空以外の海外の大手航空会社も昨年、ロシア便の運航を停止した。モスクワへの直行便の運航を停止したのは、ドイツの格安航空会社「エア・ベルリン」。同じくドイツの「ルフトハンザ」およびフィンランド航空は、路線を大幅に減らした。今月21日、イギリスの格安航空会社「イージージェット」は、モスクワ便の運航を停止する。

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