露-宇の直行便禁止は誰に商機か

Ria Novosti/Maxim Blinov
 ロシア-ウクライナ間の直行便の飛行は、10月25日から禁止されている。ロシアとウクライナの航空会社が年間70~80億ルーブル(約130~150億円)の売上高を計上してきたこの市場に、外国の航空会社は参入できる。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は9月16日、ロシアの航空会社によるウクライナ乗り入れとウクライナ上空の飛行を10月25日から1年間禁止することを定めた、2015年9月2日づけ「ウクライナ国家安全保障・国防会議(RNBOU)決定」を承認する大統領令に署名。9月18日にRNBOU決定を有効にした。ロシアは9月29日、対抗措置として、ウクライナの航空会社によるロシア領空の使用を10月25日から禁止することを発表した。

 現在、両国の直行便は飛んでおらず、航空券の販売も行われていない。ロシアからウクライナまで飛行機で行くには、乗り換えが必要となる。

 ロシアの航空券販売会社「アヴィアセールス」によると、首都モスクワ-キエフ間の航空便は、オンライン航空券サービスのユーザーの間で人気が高く、月間10万人ほどの乗客が利用しているという。ロシア連邦航空運輸局によると、2015年第3四半期にウクライナへ飛行した人の数は80万人。

 「政治情勢にかかわらず、キエフは人気の飛行先に入り続けている。旅行者というよりも、親戚やビジネスの取り引き先を訪問する人が多い」と、ロシアのオンライン旅行代理店「ビレティクス」のアレクサンドル・シジンツェフ社長はロシアNOWに話す。

どうやって行けばいいのか

 ロシアのオンライン鉄道乗車券・航空券販売サイト「トゥトゥ・ル」のアナリストによると、ベラルーシの国営航空会社「ベルアヴィア」、ラトビアの国営航空会社「エア・バルティック」、トルコの「ターキッシュ・エアラインズ」、「LOTポーランド航空」といった外国の航空会社は最近まで、ウクライナ方面の総航空券販売枚数の1%弱しか占有していなかった。だが最近、販売日のシェアが14%まで、出発日のシェアが25%まで伸びた。

 ロシアNOWが取材を行った市場関係者によると、現状の恩恵を受けるのはベラルーシ、ラトビア、モルドバ(モルドバ航空)の国営航空会社だという。

 この3社が年間70~80億ルーブル(約130~150億円)をわけ合うことになる。この金額は、ロシア連邦運輸省のマクシム・ソコロフ大臣が10月初めに発表した、直行便の売上高である。

 「モルドバ航空の運賃は安く、接続も便利。所要時間は約4時間で、航空券は片道5000ルーブル(約9300円)」と、モバイル・アプリ運営会社「アンドゴ・トラベル」対外窓口部のコンスタンチン・パルフェニョノク部長は話す。

 「3社の運賃は直行便の運賃より20~25%高い。だが鉄道乗車券の価格もそれなりに高いことを考えると、この航路に需要はあるはず」と、ロシアの航空旅客誌「飛行経路」のロマン・ザハロフ編集長は話す。3社は、飛行禁止が明らかになった直後、自国内のハブであるミンスク、キシナウ、リガを経由したロシア-ウクライナ航路でサービスを行う用意があることを表明した。

 

西ヨーロッパはハブになるか

 ウクライナにはヨーロッパの大手航空会社も乗り入れている。例えば、フラ

ンクフルト、ミュンヘンをハブとするドイツの「ルフトハンザ」や、ウィーンをハブとする「オーストリア航空」。これらの会社がすぐに代わるかというと、なかなか難しいようだ。

 「これらの航空会社の運賃は高い上、所要時間も長くなる」とパルフェニョノク部長。

 ロシアからウクライナへ直行便で行く場合、往復で1万1000~1万4000ルーブル(約2万400~2万5900円)だったのが、ドイツやオーストリアを経由すると1万5000~1万8000ルーブル(約2万7700~3万3300円)かかり、片道の所要時間もベルアヴィアやモルドバ航空よりも2~3時間長くなる。

 「アムステルダム(オランダ)やバクー(アゼルバイジャン)を経由する便にもチャンスはあるが、乗客にとって、やはりそれほど便利ではない」とパルフェニョノク部長。

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