ロシアのメダル獲得の可能性は?

東京2020大会エンブレム=

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AFP / East News
 2020年に東京で開かれる夏季五輪では、スポーツクライミングと空手でロシア人選手のメダル獲得が期待される。

 リオデジャネイロ五輪でロシアは、これまで伝統的に強いとされていなかったいくつかの種目でメダルを獲得し、多くの人々を驚かせた。その種目とはアーチェリー、自転車のトラックレース、テコンドー、そしてセーリングだ。オリンピックは幕を閉じたが、ロシア人選手らは新たな種目でのメダルを目指す。

 2020年の東京五輪では、スポーツクライミング、空手、サーフィン、ローラースケート(スケートボード)、野球・ソフトボールの5種目の追加が決定した。ロシアオリンピック委員会のアレクサンドル・ジューコフ前会長の言葉を信じるなら、ロシアはスポーツクライミングと空手で良い結果が期待できそうだ。メダリスト候補はもうすでに様々な国際大会で着々とその目標に向けて準備を進めている。

 

スポーツクライミング 複合競技に期待

 専門家たちの間で、ロシアのスポーツクライマーらは高い評価を受けている。9月にパリで開かれた世界選手権大会では実に7つのメダルを獲得。スピード種目ではアンナ・ツィガノワ選手が金メダルに輝き、2011年、2012年、2014年に続くロシア人選手の勝利となった。しかしながら、この種目はオリンピックには含まれない。

 オリンピックで採用されるクライミング唯一の種目である複合競技で勝利を収めたのは16歳のエレーナ・クラソフスカヤ選手。ロシアスポーツクライミング連盟のドミトリー・ブィチコフ会長は、東京五輪ではこのクラソフスカヤ選手に大きな期待がかかっていると述べた。

 クラソフスカヤ選手は16歳という若さにも関わらず、2015年のヨーロッパ選手権のスピード種目で金メダル、世界選手権のボルダリング種目で銀メダルをそれぞれ獲得しており、東京五輪ではまさに充実の時期を迎えると見られる。ブィチコフ会長は「この競技のトップ選手の年齢は20~28歳となっていることから、我々も若い選手に期待している。クラソフスカヤ選手以外にも、現在22歳のドミトリー・ファキリヤノフ選手が有力だ。一方、世界選手権においてボルダリングで3度優勝を果たしているドミトリー・シャラフトジノフ選手はすでに30歳という年齢となっており、厳しい闘いを強いられるだろう」と語った。

 スポーツクライミングの選手らはオーストリア、ドイツ、スロヴェニア、フランスなど国外でのトレーニングを余儀なくされている。ブィチコフ会長は「ソ連時代はクリミアに素晴らしいトレーニング場所があった。クリミアがロシアに編入された今、その場所を再建する必要がある」と指摘した。

 

空手 「素晴らしい若手選手」

 ロシア空手連盟のセルゲイ・ツォイ会長は「我々はオリンピックで金メダルを獲得するためにあらゆることをする」と述べ、ロシアの空手選手たちが日本で観客たちを魅了する力を十分に持っているとの確信を示した

 ロシア人選手たちはオリンピックに採用された型(1人で演武するもので、敵との戦いを想定し、攻防の技を繰り出し、優劣を競う)と組手(畳の上で2人で相対して行う実践形式の戦い)のいずれの競技でも、最高レベルの大会で勝利を収めている。

 ロシア選手団を率いるのは37歳のインガ・シェロジヤ選手。世界選手権で3度チャンピオンの座につき、WKF(世界空手連盟)ランキングでは、68キロ以下の階級で現在1位となっている。一方、空手の上位選手の中にも若手がいる。その代表格が23歳のイワンナ・ザイツェワ選手。昨年バクーで開かれたヨーロッパ大会で銅メダル、イスタンブールで開かれたヨーロッパ選手権で銀メダルに輝いた。

 しかしながらこの世界ランキングは、10月末にオーストリアのリンツで開かれる世界選手権で入れ替わる可能性も大いにある。この大会にはまだ国際大会への出場経験のない若い選手が多く出場する予定となっている。

 ロシア空手連盟のセルゲイ・ソコロフスキー元会長は8月の段階でタス通信に対し、「トーナメントに出場することで経験を得て、審判に顔を覚えてもらう。これは非常に重要なことです。というのも世界的レベルの選手たちは審判に、無意識とはいえ非常に近い存在だからです。ロシアには驚くべき若者がおり、驚くべきポテンシャルがあります。期待したいと思います」と述べている。

 

野球にはチャンスなし

 東京五輪で新たに採用される残りの3種目のうち、ロシアがメダルを穫れるとすれば、あとはスケートボードだけだろう。ここ数年間の国際レベルの大会では、マクシム・クルグロフ、ゴーシャ・コヌィシェフ、ドミトリー・ドヴォイニシニコフの各選手が大躍進を見せている。またモスクワでは最近、スケートパークがいくつも作られ、2015年にはワールドカップの1ステージが行われた。これはスケートボードがロシアで認められている証と言える。

 一方、ロシアでは2015年になってようやく正式競技として認められたサーフィン。オリンピックでのメダル獲得を期待するのは時期尚早だと言えるだろう。国内では競技施設も整っていないことから、ほとんどのロシア人選手がバリでトレーニングしているというのも驚くべきことではない。

 ロシアの野球は事実上、アマチュアレベルに留まっている。今年開かれたロシア選手権大会には10チームが参加したにすぎなかった。

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