エフゲニア・メドベージェワ=
ロイター通信ロシアの女子選手が比類なき演技をしていなかったら、ロシア代表の世界フィギュアの結果は悲惨だっただろう。大会のトリを飾った女子シングルのフリーまで、代表にはメダルが一つもなく、落胆が広がっていた。全体的な状況、そして女子間の競争という二重のプレッシャーを負いながら、女子選手は氷上にあがった。大会はアメリカのボストンで行われたため、アメリカ人女子選手がフリーで表彰台にあがるだろうと考えられていた。ショートが終わった時点でトップに立っていたのは、アメリカの、苗字からしてもトップの、グレイシー・ゴールドであった。
だがエフゲニア・メドベージェワ(16)はフリーで見事な滑りを見せ、タイトルを誰が手にするかは火を見るより明らかになった。グランプリ(GP)ファイナル、ヨーロッパ選手権の金メダリストであるメドべージェワは、世界新記録(フリープログラムで150.10ポイント)を出し、もう一つの金メダルを獲得した。アンナ・ポゴリラヤ(17)は銅メダルを手にした。どちらも、闘いへの技術的、心理的準備が整っていたことを示した。メドベージェワに期待しなかったのは一部の無関心な人だけであろうが、ポゴリラヤのメダルは多くの人にとって予想外であった。
「ポゴリラヤはとても自信をもって、力強く、情熱的に滑った。上位の競争はとても熾烈で、予想外の結果はふつうにありえた。表彰台にあがったのは、安定した、きれいな滑りを見せた選手だった」と、昨年の世界選手権の金メダリストで、今年は代表に選考されなかったエリザベータ・トゥクタミシェワがほめたたえた。
ロシアの女子選手の繁栄期は長く続くのだろうか。プログラムの難度は相当高いが、現在の競争レベルでは、安定性が勝敗をわける。昨年のメダリストであるエレーナ・ラジオノワは、良い滑りながらも理想的ではない滑りで6位にとどまった。
アンナ・ポゴリラヤ=アレクサンドル・ヴィリフ撮影/ロシア通信
さて、ペアの勢力バランスを示したのは、今回の世界フィギュアだった。過去にオリンピックで優勝、入賞したペアもいる、ロシアの3組は、優勝どころか表彰台にあがることすらできなかった。
さらに、今大会に出場したペア3組すべてが、ニーナ・モゼル・コーチのグループの選手であることも、要因の一つである。選手と同様、コーチにも競争が必要なのだ。
アイスダンスでは、ロシアは9位と11位に沈んだ。エリート組に食い込むことが非常に難しいこの種目では、ポストオリンピック・シーズンの決定が現状を生んだ。
エレーナ・イリイヌィフとニキータ・カツァラポフ組はソチ・オリンピックで銅メダルを手にし、アイスダンスでトップになることが期待された。だがペアを解消してしまった。代わりに2組できたわけだが、自分たちの最高の演技でさえも、トップの滑りにすっかりかき消されてしまったのである。
男子シングルはプルシェンコを欠く中、高い結果をだすことができていない。数シーズン、ロシア代表のトップの称号を得ているマクシム・コフトゥンは、その責任を果たせていない。何よりも精神的な要因である。今大会で18位に終わったことが、その証拠だ。一方、ヨーロッパ選手権と世界選手権に21歳でデビューしたミハイル・コリャダは、パトリック・チャンを超えて表彰台手前に位置し、真のセンセーションを巻き起こした。
ミハイル・コリャダ=アレクサンドル・ヴィリフ撮影/ロシア通信
コリャダのヴァレンチナ・チェボタリョワ・コーチは、進歩を始めたのが遅かったが、活躍は妥当だと話す。「コリャダは重いケガを負い、何度も手術を受け、足にはプレートが入っている。1シーズン丸ごと断念している。それを乗り越えてきた。今大会ではデビュー選手だったため、プレッシャーもなかった。自由に滑ることができていた」
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