グゼリ・ヤヒナ作家=
ウラジミル・ヴャトキン撮影/ロシア通信今回最大のセンセーションが本作だ。文学界のデビュタント、つい昨日まで一般大衆には無名であった女性作家が、ヴィクトル・ペレーヴィンやアレクセイ・ワルラーモフといった現代文学の生ける古典を差し置いて、一等賞に輝いたのだ。
グゼリは1977年カザン生まれ。現在はモスクワ在住。以前はPRを仕事にしていたが、今年、モスクワ映画学校の脚本コースを修了した。
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『ズレイハは目を開く』は彼女の最初の、そして現時点で唯一の長編小説である。すでに今年、文学賞「ヤースナヤ・ポリャーナ」を贈られ、「ボリシャヤ・クニーガ」のインターネット読者投票でも優勝した。
タタールの僻村に住む農婦ズレイハが、1930年代、他のクラーク(富農)とともに財産を接収され、シベリアの収容所に送られる。これは家族の物語だ、と作者は強調している。
当初ワレーリー・ザロトゥーハは、モスクワの獣医エヴゲーニイ・ゾロトロートフの苦難、現代のヨブ記と呼ぶべき長編を、1年で書き上げる予定だった。実際には執筆にほとんど12年がかかった。作家は2015年2月、畢生の大作の刊行と同時に亡くなった。同作品が「ボリシャヤ・クニーガ」で二等賞に輝いた。
ザロトゥーハは1954年、トゥーラ州(モスクワから200㎞)の鉱山に生まれた。モスクワに住み、ジャーナリスト、脚本家として働いた。その名を有名にしたのは映画である。ウラジーミル・ホチネンコ監督作品『ムスリム』の脚本で、ロシアの映画賞「ニカ」の脚本賞を受賞した。1992年以降、散文作品を発表するようになり、中編『最後のコミュニスト』は2000年の「ロシア・ブッカー」賞にノミネートされている。
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『蝋燭』は2部から成る。信仰と無信仰をめぐる、2000ページに迫る分量の大長編だ。蝋燭を供えに寺院に入り、冤罪で収監されてしまった男をめぐる物語。嵐のような議論を巻き起こし、批評家から互いに全く異なる評価を受けた。「叙事詩への大胆不敵な挑戦であり、あからさまな聖書の引喩であり、実存をめぐる重要問題群に対する懸命な回答であり、叙述上の鮮烈な高揚と、それに劣らず鮮明な失敗。これらが論争と解釈のための素材を豊富に提供してくれる」。こう批評家ミハイル・エデルシュテイン氏は評している。
三等賞はロマン・センチンの『水没地帯』に贈られた。この作家はこれまでも何度か「ボリシャヤ・クニーガ」の最終候補に入っていたが、今回が初めての受賞となった。
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『水没地帯』の舞台となるのはシベリアの村々。時は2010年代。住む家を後にし、都市へと移住することを余儀なくされた住民たちの悲劇的な運命を描く。彼らの家々が立つ場所に、水力発電所が建設され、一帯は水底に沈むことになった。権力者やオリガルヒ(政商)たちの全能、そして一般民衆の無力。物語の舞台となるロシアの田舎といい、主人公たちといい、昨年世界を席巻したアンドレイ・ズヴャギンツェフ監督作品『裁かれるは善人のみ』と相通ずるものがある。
ロマン・センチンは2009年発表の『ヨールトゥイシェヴィ』で広く世に知られるようになった。同作はロシアの主要な文学賞のほぼすべてで最終候補入りしたが、結局受賞はならなかった。
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