映画「10月(世界をゆるがした10日間)」(セルゲイ・エイゼンシュテイン監督)のシーン
=Getty Images以下は革命時代の歴史と人々の感情をよりよく理解し、新たに解釈する助けとなる映画6作品である。
セルゲイ・エイゼンシュテイン監督による革命3部作の最終作。監督自身、この作品に関して、革命は「わたしにもっとも大切なものを与えてくれ、わたしを芸術家にした」と述べている。革命3部作はデビュー作品の「ストライキ」が1作目、黒海で反乱を起こした戦艦ポチョムキンとその船員たちを描いた映画史上屈指の名作「戦艦ポチョムキン」(1905年)が続く2作目となった。「10月」は革命についての映像の集大成であり、そこにはニコライ2世の銅像の破壊シーンから革命の勝利を告げるレーニンの演説までが含まれている。作品の中で最も重要でよく知られているのが冬の宮殿での水兵たちによる突撃シーンで、舞台効果のあるこのシーンは革命をテーマにしたほぼすべてのドキュメンタリー映画で使用されている。
ロシア革命後の内戦において、仲間のペーチカやアンカと共に献身的に白軍に対抗した赤軍師団長ワシリー・チャパーエフを主人公としたワシリエフ兄弟によるアドベンチャー映画。ロシア内戦を分かりやすく映像化したものであり、かつての英雄についての神話でもある。映画中のエピソードはアネクドート(小噺)や一口話として現在でも語り継がれている。このチャパーエフの英雄的な物語は観客の間でも評論家の間でも大好評を博し、モスクワ映画祭では第一賞(銀盃)を受賞、スターリンからも高く評価された。今なお多くの人々に愛される一作で、ウラジーミル・プーチン大統領もお気に入りのロシア映画作品に挙げている。
革命の20年後にミハイル・ロンム監督によって製作されたこの作品は、元々ややユーモラスで神経質なところがあったものの後に疑いなく革命の天才となったウラジーミル・レーニンその人にスポットを当てたものである。同時代に生きた人々の回想を参考に革命の父を演じた俳優ボリス・シューキンの演技は秀逸で、彼がスクリーンに登場した瞬間、観客たちはまるで本物のレーニンを見たかのように立ち上がって拍手をした。映画はアメリカでも上映され、アメリカなどライセンス契約を結んだ国外の複数の会社が、シューキン演じるレーニンについて「興味深く、鮮やかで、観客の共感を呼ぶものだ」と評価している。
ミハイル・ブルガーコフのいくつかの小説(主に「逃亡」と「白衛軍」)を基に、アレクサンドル・アーロフとウラジーミル・ナウモフが女優リュドミラ・サヴェリエワ(1969年にオスカーを受賞したボンダルチューク監督の「戦争と平和」のナターシャ・ロストワ役)と俳優アレクセイ・バタロフ(1980年にオスカーを受賞した「モスクワは涙を信じない」のゴーシャ役)を主役に豪華キャストで撮り下ろした2部作。
1971年のカンヌ映画祭に出品されたこの作品で監督らは、革命によってもたらされた道徳的および精神的概念の根本からの否定、亡命の困難さ、また新たなソ連史の中で失われたインテリゲンツィア(知識階級)の役割というものを提示した。
オスカーを受賞したニキータ・ミハルコフ監督の比較的最近の作品。イワン・ブーニンの同名の短編小説と日記「呪われた日々」を下敷きに制作された。この日記の中でブーニンは、革命は国を二分した悲劇だと認識を示している。作品は1920年秋が舞台となっており、ボリシェヴィキの選別収容所に収監された白軍の生き残りである名もない陸軍大尉が、束の間の恋、平和な暮らしを思い出し、「どうしてこうなったのか」と自問する。ロマンティックなイメージとエイゼンシテインの映画作品への直接的なオマージュを通して、国と国民を大きく変えた100年前の出来事に光を当てようと試みた作品。
ヴェネツィア映画祭での受賞経験(「First on the Moon」、「Silent Souls」)を持つアレクサンドル・フェドルチェンコがタイガの先住民を啓蒙するためにやってきた芸術界の革命家グループを題材に製作した作品。革命後の物がたりとしては一風変わったストーリーの映画である。主人公は1920年代の有名な画家、建築家、音楽家などの前衛芸術家たち。実際に起きた出来事を監督のファンタジーを絡めて集めた作品で、ソ連の前衛的な市民と、革命のスローガンとはかけ離れた暮らしをしていたシベリアや北方の少数民族との対立を描いている。
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