モスクワ地下鉄の一風変わった駅まとめ

モスクワ地下鉄はすでに研究し尽くされているように思えるが、それでも、驚きは尽きない。モスクワ地下鉄の珍しい記録や興味深い特徴をお話ししよう。

最も長い駅

 「雀が丘(ヴォロビヨーヴイ・ゴールイ)」駅のプラットホームの長さは、通路を含めて284㍍。健康のための1日1万歩を目標に歩くのにも適した長さだ。世界初の、河にかかる橋の上に建設された駅でもある。

噴水つきの駅

 駅名が付近の名所に由来しない、珍しいケースである。「リムスカヤ(ローマの)」駅のデザインは、イタリアの建築家ジャンパオロ・インブリギとアンドレア・クアトロッキが担当した。噴水と、倒れた円柱に腰かけるロムルスとレムスの兄弟像は、彫刻家レオニード・ベルリンのアイディアである。エスカレーターで地下に下りた乗客は、一角に古代ローマ調の光景を見て不思議な気持ちになるのである。

超長期工事

 「スパルターク」駅の起工は1975年だが、オープンしたのは39年も経った2014。1960年代末、トゥシノ飛行場に住宅地を建設する計画があり、地下鉄駅の需要は高い筈だった。しかし結局、住宅建設は計画のみに終わり、駅の建設も凍結された。2000年代に入って、付近にFCスパルタークのホームスタジアム建設が始まったことで、駅の必要性が見直された。

最も湾曲した駅

 モスクワ地下鉄の駅のうち、10近くの駅は直線ではなく、湾曲した曲線形である。最も「曲がっている」駅は「アレクサンドロフスキー・サード」で、曲線半径は750㍍。原因は、もともと駅の建設計画が無かったものの、後に1つの地下鉄路線を2つの独立した路線に分割する必要が生じたことにある。こうして設計された駅は、トンネル区間にプラットホームを追加したものとなり、「レーニン図書館」駅の乗り換え駅として機能することになった。

最多改名

 「オホートヌイ・リャド」駅は、4回も駅名が変わっている。1935年にオープンし、20年後に初めて改名され、「カガノーヴィチ」駅となった。1957~1961年の間は元の駅名に戻されていたが、1961年に「プロスペクト・マクルサ(マルクス大通り)」駅に改名。そして1990年になって、また元の名称が復活した。

最深の駅

 「パルク・ポベードィ(戦勝公園)」駅は、地下73㍍に位置する。駅まで下りていくのも、ちょっとした冒険だ。エスカレーターは長大で、長さは126.8㍍に及び、揚高は63.4㍍。しかも、そのエスカレーターに至るまでに、まずは揚高3.6㍍の小さいエスカレーターを下りる必要がある。一方、「ペチャートニキ」駅は、ほとんど下りる必要が無い。深さはたったの5㍍。駅の場所はもともと沼地で、地下水の浸透を防ぐべく、浅い位置に建設されたのである。

最多路線駅

 ロシアで唯一の4列柱の駅で、1つの大ホールに4本の線路が通っている。2本はネクラソフスカヤ線で、残り2本は大環状線の線路である。また、単一の階層の駅としてはロシア最大の幅で、約56㍍である。

博物館付き駅

 モスクワ地下鉄には食堂付きの駅や、展示スペース付きの駅、さらに博物館が付属している駅もある。もちろん、展示はモスクワ地下鉄に関するものである。「ヴイストヴォチナヤ(展示場)」駅のロビー2段目には、地下鉄建設に関する様々な品や文書類、古写真などが展示されている。

最も幅の狭い駅

 「ヴォルゴグラツキー・プロスペクト」駅は、早朝でも夜遅い時間でも、ラッシュ時のような気分になる。柱の間隔はわずか4㍍なので、肩がぶつかりそうな距離ですれ違うことになる。

最も長い区間

 「ストロギノ」駅から「クルィラツコエ」駅までの距離は、6625㍍。実に7分間もの走行を要する。一方、最も短いのは「ヴイソトヴォチナヤ(展示場)」駅と「メジュドナロドナヤ」駅間の498㍍。タイムラインを読み終わらないうちに次の駅に着いてしまう距離だ。

半地下の駅

 ソンツェフスカヤ線の「ミチューリンスキー・プロスペクト」駅は、モスクワでは初となる半地下型の駅で、駅構造の大部分は地下にある。壁の1つはガラス張りなので、プラットホームから町の風景が見られるのが特徴だ。

あわせて読む:モスクワの地下鉄の乗り方>>>

もっと読む:

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる