ロシア最果ての地、チュコトカへの行き方

観光・自然
アンナ・ソロキナ
 大陸の東端へは、単に航空券を買ってホテルを予約すれば行けるものではない。とはいえ、そこへ行って歓迎されないわけではない。

 北極圏の驚嘆すべき極寒の世界、オーロラと果てしないツンドラ――この最果ての地はこのように表現できるだろう。事実、チュコトカはロシアだけでなくユーラシア大陸の果てでもある。180度経線がここを通って西半球と東半球とを分け、「昨日」と「今日」を隔てる日付変更線の基準となっている。ロシアと米国の海上国境もこの地域にある(ダイオミード諸島を構成する2つの島(一方がロシア領でもう一方が米国領)の間の距離はわずか4キロメートルだ)。

 人々はヒグマとホッキョクグマが闊歩する、ほとんど人間の手が触れていない驚異の大自然を見にここを訪れる。セイウチを観察したり(どちらがどちらを観察しているのか分からないが)、夏に雪合戦をしたりしに来る人もいる(永久凍土のおかげだ)。また、自分の力を試してユーラシア大陸東端のデジニョフ岬を目指す人もいる。主要な名所についてはすでに過去の記事があるため、今回はどうやったらここに来れるのか詳しく見てみよう。

チュコトカにはどんな人々が暮らしているか

 チュクチ自治管区(チュコトカ)はロシアで最も人口密度の低い広大な(ヨーロッパの国々に匹敵する)地域だ。人口はわずか5万人で、半分がロシア人、4分の1がチュクチ人、残り4分の1が少数民族を含む他の基幹民族だ。ツンドラの遊牧民族は主にトナカイ飼育を営んでおり、沿岸部の先住民族はもっぱら海で狩りをしている。

 チュコトカの中心都市は自治管区の首都アナディリだ。ロシアで最も物価の高い街だが、同時に最も明るい街でもある。植物が育たない中、街並みに彩りを添えるため、すべての建物が派手な色で塗られているのだ。アナディリの郊外では、旅行客が丘に登ったり、アナディリの河口部をボートで探検したりしている。

 西部には、ビリビノ(世界で唯一永久凍土の上に立つ原子力発電所がある)などの街や、ペヴェク(ロシア最北の街)、エリギギトギン湖、ウランゲリ島(「シロクマの島」とも呼ばれる)がある。

 チュコトカ東部はこの地域で最も興味深い場所で、野生のセイウチやクジラ、シャチを見たり、先住民族の集落を訪ねたりできる。デジニョフ岬まで行って、大西洋と太平洋が出会う所を見ることもできる。

ロシアのビザだけでは不十分

 外国人がロシアで旅行する場合、たいてい自分ですべての手配ができる。ビザを取り、ホテルを予約し、飛行機と現地の交通機関のチケットを買う。しかしチュコトカの場合は現地の旅行会社に連絡して団体で旅行した方が良い。ロシア語が達者であったとしてもだ。朗報は、その方が自分で旅の計画を立てるよりも安くて安全で済むということだ。

 ロシアのビザの他、連邦保安庁の自治管区支局から許可を得る必要がある。チュクチ自治管区はいわゆる立ち入り制限区域だからだ。団体旅行なら、許可は旅行代理店が取得してくれる(詳しくはこちら)。

 仮に自分で許可が取れたとしても、別の問題に直面する。ある場所から別の場所へ移動するには、しばしば飛行機かヘリコプター、全地形対応車を利用しなければならない。旅行代理店なら、団体用にチャーター便を用意して乗り換えの手配もしてくれる。これは何も極端なことではない。ここではごく普通の交通手段なのだ。

 安全の観点からも、団体で旅行した方が良い。野生動物がうろつき、気候は過酷で天気が急変しやすく、携帯電話は集落でしか使えない。 

チュコトカへの行き方

 チュコトカにはこの地域と外界とをつなぐ街が3つある。たいていの旅が始まるのはアナディリだ。空港は河口の対岸のウーゴリヌィエ・コピの集落にあり、季節によってフェリーかヘリコプターで街と結ばれている。この空港には、モスクワ(8~9時間)、イルクーツク(5~6時間)、ノヴォシビルスク(6~7時間)、ウラジオストク(5~6時間)、ペトロパヴロフスク=カムチャツキー(5時間)、ヤクーツク(5~6時間)、ハバロフスク(4~5時間)から飛行機が飛んでいる。2つ目の街はペヴェクで、マガダン(5時間)、ヤクーツク(6時間)から飛行機で来られる。3つ目の街はビリビノで、マガダン(3時間)からのみ飛行機が出ている。

 エグヴェキノトやラヴレンチヤ、プロヴィデニヤ、ムィス・シュミッタ(シュミット岬)など、比較的大きな村にも空港があり、地元のチュコタヴィア航空が運行している。

 湿地と永久凍土が広がるため鉄道はない。バスの路線もほとんどなく、道路は舗装されていない。アスファルトでは現地の気候に耐えられないため、いくつかの集落では道路がコンクリートで舗装されている。冬には「氷の道」が使われる。

 チュコトカではすべてが天気に左右されることを覚えておこう。原則として冬は約9ヶ月続き、6月から8月まで風が強くて太陽の明るい夏らしき季節がある。地形が複雑で、近い場所でも天気が異なる場合がある。というわけで、準備はしっかりして行こう。

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