「バイカルのキス」って何?(写真特集)

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 想像してみてほしい。世界最大の湖の凍った湖面の上に数十人の観光客が横たわり、皆、揃って何かを舐めている。いや、湖の水ではない。これには理由があるのである。

 ロシアの観光客らが、インスタグラムにちょっと変わった写真を投稿している。バイカル湖の湖面に横たわり、舌を使って懸命に何かをなめ、湖面に突き刺したストローで何かを吸っている。―これは「バイカルの口づけ」と呼ばれるものである。  

 このアクティビティは、ツアーガイドたちが2019年に考案したもの。当初は中国の観光客を対象にしたものであったが、それがロシア人にも広まった。「キス」はバイカルへの愛への通過儀礼のようなものだと捉えられている。

 まず、氷にドリルでワイングラスのような穴を開ける。

 そこに、浸酒、ウォトカ、コニャック、シャンパンなどのアルコールを注ぐ。ワインやリキュールのこともある。

 氷の上に寝そべり、そのお酒を飲む。

 この新たな「習慣」では、基本的にはストローを使わず、バイカル湖に唇をつけて、そのままカクテルを飲むことになっているが、ストローを使うこともできる。

 「バイカルのキス」では、ベリー類と一緒にカクテルを飲む。コケモモ、クランベリー、ホロムイイチゴが一般的であるが、レモンやみかんの輪切りをつまむこともある。

 このアクティヴィティを体験したクセニアさんは次のように語っている。「氷に開けた穴からお酒を飲むというのは、本当に楽しいものです。皆、とても気に入って、運転手に新しい穴を開けてほしいと頼んだくらいです。旅行の3日目には、旅行者たちが自分で穴を開けて、バイカルのキスをやっていましたよ」。

 もう一人の観光客、アンナさんは、「バイカルのキス」で元気をもらったと話している。 

 「そのパワーは数日間、続きました。バイカルで自分の可能性を感じ、自分自身を知るための一歩を踏み出せました。痛いくらい冷たい雪片が自分の心に特別な感覚を残し、こんなに氷を好きになるとは思ってもみませんでした。いまではバイカルの氷を見ただけで、喜びを感じるというか、もはや感動を覚えるようになりました」。