ハンティ・マンシースク:マンモスのいる北方の地に行くべき理由

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 ハンティ・マンシースク市がある古代の地ユグラには、原始人や洞穴で滅びた動物の記憶が残っている。しかし、最近ここでは石油が見つかり、中心都市は独特の国民性を大切に守りながらも発展した街へと変化を遂げている。

 伝説を集めた著書「ユグラ、これがわたしの大地」のまえがきに、プロジェクトのプロデューサーのアンドレイ・スレイコフ氏は、「これまでに何度もユグラを訪れた。杉林で、シベリアっ子たちに誓いを立て、酷寒の季節に、ベリーのまわりについているのが砂糖なのか氷なのか分からないまま、クランベリーを食べてみたりもした。露天の熱い温泉やシベリアのバーニャにも浸かった」と綴っている。

 これは旅行というよりも、タイムスリップのようなものだと思うかもしれない。ユグラは原始人とマンモス、近代性と石油、天然ガスと新たなビル建設が融合した場所である。この地域の長い正式名称「ハンティ・マンシースク自治管区ユグラ」も、現在と歴史が一つになったものである。

 ユグラの誕生については美しい伝説がある。あるとても明るく温かい太陽の光が射す街に信じられないほど美しい双子が生まれた。兄のユーグと妹のラーである。誕生してしばらく、2人はごく普通の子どもと同様に大きくなっていった。しかし時とともに、2人は言い争い、喧嘩をするようになり、周囲に火をつけるようになった。街の人々は2人が何もかもを焼いてしまうのではないかと怖くなり、2人を氷と雪に覆われた北方送りにした。兄妹は自身の温もりでこの地を照らし、温め、そこに人々が暮らすようになった。ユーグとラーは争いをやめ、仲良く暮らすようになった。そしてこの地はユグラと呼ばれるようになった。

 地図を見ると、ハンティ・マンシースクはロシアの真ん中にあるように見えるが、この地の気候は極北とほぼ同じである。冬の気温はマイナス40℃以下になる。

地元の人々や地域の専門家に、ハンティ・マンシースクの見どころと、観光客にオススメのアクティヴィティについて尋ねた。

なぜ外国人にハンティ・マンシースクがオススメなのか?

 「ロシアの冬の寒さと雰囲気を感じたければ、この小さく快適な町にぜひ来てください」と言うのは地元のタトゥー彫り師、セミョーン・チェプルノイさん。またジャーナリストで地元のメディアの編集長を務めていたエヴゲニー・ジノヴィエフさんは、ハンティ・マンシースクでは、表面的ではなく、本物のロシアを感じることができると語っている。「冬には酷寒、雪の塊、風を体感でき、夏は灼熱、ブユ、クマを目にすることができ、そして1年を通して、先住民族ハンティ人とマンシ人の生活習慣を垣間見ることができます。そしてもちろん、現代ロシアが石油やガスとともにハンティ・マンシースクでどのように暮らしているのかを詳しく知ることができます」。

 「ハンティ・マンシースクにはユニークな自然を堪能することができます。街はタイガに囲まれた7つの丘の上に位置しており、川には多くの魚が生息し、街を囲む森では多くのキノコやベリー、松の実などを採ることができます」と地元の警察官、セルゲイ・ヤンコヴィチさんは言う。

 厳しい自然は地元の人々の観光客への態度にも影響を与えている。セルゲイさんは、「街の住民はとても善良で、お客好きで、いつでもどんな状況でも、知らない人でも助ける用意があります。なぜなら北方にはいつの時代にも、困っている人がいたら必ず助けなければならない、なぜなら明日は我が身だからという暗黙のルールがあるからです。厳しい自然の下、特に冬には過ちは許されないのです」と語る。

ハンティ・マンシースクで見るべきもの、するべきこと、食べるべきもの 

 地元の女性市民で、伝説集「ユグラ、これがわたしの大地」の執筆者の1人であるイリーナ・プドワさんは、ハンティ・マンシースクでまず見るべきものとして、地元のマンモスを挙げている。7頭の古代の動物の実物大の銅像がサマロフスキー丘沿いの考古学公園の敷地内を「散策している」のだそうだ。この公園では原始バイソン、狼、ホラアナグマの群れ、2頭のケブカサイ、原始人を見つけることもできる。

 「それが済んだら、食事をしましょう。たとえば、地元のシベリア料理のレストランに入って、ムクスンという魚があるかどうか確かめます。非常に価値のあるサケ類の淡水魚で地元の人にも観光客にも高い評価を受けています」とイリーナさん。

 ハンティ・マンシースクは比較的歴史の浅い街である。都市としてのステータスを得たのは1950年に石油が見つかってからで、それを機に大きく発展した。それまでここには17世紀末にロシアが開発したシベリアの居住地があっただけであった。イリーナさんは、このような厳しい条件の下で現代の街が創建されたことに感銘を受けているという。そして、「文化施設、広場、住宅、すべてとてもユニークです。そしてすべてが新しく、まったく古いものには出会いません。マンモス以外はね」と語る。

 エヴゲニー・ジノヴィエフさんのお気に入りの場所は、先ほど触れた考古学公園、地質学・石油・ガス博物館、自然・人間博物館、そして自然公園「サマロフスキー・チュガス」の中の数世紀前からある杉だという。またジノヴィエフさんは、展望台のユグラの地の発見者らの記念碑のそばからの景色を眺めること、バーニャに行くことを勧めている。

 加えて、エヴゲニーさんはハンティ・マンシースクでオススメの食べものリストを教えてくれた。

 セルゲイ・ヤンコヴィチさんは、野外民俗学博物館「トルム・マア」(マンシ語で聖なる大地を意味する)に行くことをお勧めすると言う。「街や地域の歴史、そしてフィン・ウゴル語族の先住民族ハンティ人やマンシ人の暮らしについても知ることができる」と述べている。

 このほか、セルゲイさんは、ハンティ・マンシースクを訪れる人は、オビ川とイルティシ川の合流地点に行き、ホテル「ミスネ」のレストランで伝統料理、それにタイガにいる漁師や猟師たちが作る料理を試してみるべきだと話している。

 セミョーン・チェプルノイさんは自然公園「ドリナ・ルチエフ」にぜひ足を運んでほしいと話す。これは市民らの間でもっとも人気のある場所の一つで、整備されたトレイルがあり、そこからは美しい街の景色が楽しめる。セミョーンさんは、チェーン店のグッドフードカフェでブリヌィを食べるといいと教えてくれた。

何を持ち帰るか? 

 イリーナ・プドワさんは言う。「わたしたちが気に入っているのは、何か神秘的なもの。ここではシャーマニズム文化が発展しているので、シャーマンの祈りが込められた地元のお守り―たとえば、熊の鉤爪やビーズのネックレス、トナカイの毛皮などを持って帰るのがいいと思います」。

 セルゲイ・ヤンコヴィチさんは本物のお土産を買うなら、ロズニン通りにある工芸センターに行くべきだとアドバイスしてくれた。「ハンティ人、マンシ人の民族衣装を目にするだけでなく、試着したり、先住民族の人々が自分の子供たちのために作ったクイズに挑戦することができるんです」。

 エヴゲニー・ジノヴィエフさんは、ハンティ人やマンシ人のお守り、洋服、装飾品がいいお土産品になると話す。またムクスン、ワイルドベリー、松の実、トナカイの肉など、食べ物はすべて土産ものになるという。

 セミョーン・チェプルノイさんは、思い出、写真を持って帰るのが一番だが、シベリアの酷寒を少し持ち帰るのも悪くないと語っている。

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