2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会の開幕までいよいよ秒読みとなった。6月14日から7月15日までの1ヶ月間、11都市12会場で200万人以上のファンがサッカーの祭典を見に訪れると予想されている。ところで贔屓のチームを応援する以外に、何をして過ごせば良いのだろう、とお悩みの方、少し文化に触れてみるのはいかが。我々のガイドをどうぞ。
モスクワ
展覧会「サッカーだけではない」
クリムスキー・ヴァル通にあるトレチャコフ美術館新館は、20世紀の芸術に重心を置いているが、ワールドカップに向けて特別展を開催している。スポーツをテーマにした絵画や彫刻が5月9日から9月11日まで展示されている。ファンIDがあれば入場無料!
展覧会「ワシーリー・ヴェレシチャーギン」
トレチャコフ美術館新館を訪れる機会があれば、もう一つの大きな回顧展もお見逃しなく。ロシアの傑出した芸術家ヴェレシチャーギンの前線での日々やエキゾチックな土地の探訪体験を反映した作品500点(トルキスタンやバルカン半島、インド、ロシア極北、日本をテーマにした一連の作品)が展示される。
宇宙航空学センター
この機会にソビエト時代に作られたヴェー・デー・エヌ・ハー公園を訪れ、スターリン建築を見ておこう。最近開館した宇宙総合博物館も要チェックだ。ここには120以上の独特の航空機や宇宙船が展示され、また貴重な写真や動画が公開されている。独自の5Dシネマでは、ビッグバンから人類の火星入植計画まで、宇宙の歴史をたどることができる。
展覧会「ロシア・サッカーの歴史」
来館者はソビエトの貴重なゲーム機でサッカーをプレーし、カルト的人気を得た最初のゲームや、家庭用ゲーム機のゲームを楽しむことができる。
バレエ:「アンナ・カレーニナ」於ボリショイ劇場
モスクワで演劇に字幕のつく劇場は多くないため(お薦めリストはこちら)、バレエを見に行くことをお薦めする。ボリショイ劇場では、ジョン・ノイマイヤーが振付を担当した素晴らしいバレエを見ることができる。
サンクトペテルブルグ
FIFAファン・フェストでのゼムフィーラのステージ
ロシアの伝説的ロックミュージシャンの歌声を生で聴きたいなら、これがチャンスだ。ゼムフィーラの貴重なステージが6月12日にサッカーファンを喜ばせてくれる。
展覧会:イリヤ/エミリア・カバコフ「皆が未来に連れて行かれるわけではない」
国立エルミタージュ美術館は随一の観光名所で、この展覧会は現代芸術に関心のある人なら必見だ。実際、現在アメリカ国籍を持つこのソビエト生まれの夫妻は、アメリカでもそう頻繁には展覧会を開かない。
白夜:自然現象
この街そのものが芸術作品だが、毎年この独特の時期には何百万もの観光客が押し寄せる。幸いワールドカップ期間中はずっと白夜が続く。太陽が沈むのは数時間だけなので、街で遊び、散策し、水路や川で船に乗ろう。
深紅の帆
6月23日に行われるサンクトペテルブルグで最も重要な祭り「深紅の帆」では、壮観な花火と水上ショーを観覧することができ、そしてもちろん、美しい赤い帆を持つフリゲート船「シュタンダルト」がネヴァ川を美しく飾る。これはきっと一生の思い出になるはずだ。ワールドカップの最終試合を観戦するなら、何百隻ものヨットと船がネヴァ川を航行する「バルト海祭」を楽しめる。
バレエ:「白鳥の湖」於アレクサンドリンスキー劇場
ピョートル・チャイコフスキーの伝説的な音楽に合わせて踊られるこのクラシックバレエの最高傑作は、サンクトペテルブルグでの文化体験の夕べの至極の楽しみとなるだろう。アレクサンドリンスキー劇場はピョートル大帝の娘が創設したロシア初の国立劇場だ。このため、劇場の内装も見どころの一つとなっている。
ヴォルゴグラード
展覧会:「セルゲイ・ラレンコフ:スターリングラード――未来から見た景色」
かつてスターリングラードの名で知られたヴォルゴグラードは、ソ連軍の栄光を物語る都市であり、ここへ来たならその歴史を素通りすることはできない。巨大なママエフ・クルガンや母なる祖国像を見物した後は、サレプタ旧市街歴史郷土博物館で開催されるセルゲイ・ラレンコフのフォトコラージュ展を見に行こう。
ニジニ・ノヴゴロド
展覧会「ゴール」
この街のクレムリンの古い壁の中に入るなら、武器庫を見学しよう。この建物には現在国立現代芸術センターの支部が入っている。ここでは、ソビエト・サッカーのスター選手らを紹介するスポーツ写真の展示や、ニジニ・ノヴゴロド出身で今年生誕150年を迎えたソ連の偉大な作家、マクシム・ゴーリキーを特集した特別展示を見ることができる。
国際バレエコンテスト「世界の若きバレエ」
ソチの冬劇場では普段から、古典音楽の演奏会や、喜劇、バレエ、音楽などさまざまな芸術分野のコンテストが開催されている。今年は6月16日から22日まで、ボリショイ・バレエの伝説的な巨匠ユーリー・グリゴローヴィチが世界中の才能溢れる若者たちをソチに招く。
サランスク
民族祭
サランスクはロシア連邦モルドヴィア共和国の首都で、住人の4割がモルドヴィン人だ。サランスクからほど近いチュカルィ村を訪れて少しエキゾチックな民族精神を感じ、豊穣祈願の祭りが起源の民族祭を楽しもう。
エカテリンブルグ
新旧ロック祭
このウラルの街では6月29日に夜間の音楽コンサートが開かれ、懐かしいバンドから、ドラムンベース・グループNeuromonk Feofanなどの最近のバンドまで、幅広いグループの演奏を聴くことができる。コンサートは新エリツィン・センターの近くで開催される。
あらゆる美術館・博物館の営業時間や所在地を含め、ワールドカップ開催都市での文化体験についてもっと知りたい方は、こちらをどうぞ。