モスクワ地下鉄の宝:古代ローマへ誘う黄緑色路線の駅

 リュブリンスコ・ドミトロフスカヤ(黄緑色)路線のすべての駅はソ連崩壊後に開業した。伝統的なソビエトの装飾はないが、そのデザインはそれでもなお訪れる人々に深い印象を残す。

マリイナ・ローシャ

 駅名の由来となっているモスクワのマリイナ・ローシャ地区は数世紀にわたり、裕福で影響力のあった大貴族シェレメチェフ家の所有する土地であった。そこで駅の装飾がこの大貴族をテーマにしたものであるのも驚くべきことではない。壁にはシェレメチェフ家が所有していた屋敷や教会、森や川などが色鮮やかに描かれている。 

ドストエフスカヤ

 この駅に降り立てば偉大なロシアの作家への畏敬の念を抱かずにはいられない。フョードル・ドストエフスキーを記念したこの駅は彼の生家からそう遠くない場所に位置している。駅構内はドストエフスキーの4つの小説「罪と罰」、「白痴」、「悪霊」、「カラマーゾフの兄弟」のイメージとモチーフで飾られている。

トゥルブナヤ

 駅はライトアップされたステンドグラスのモザイクで表された古代ロシアの都市や村で装飾されている。駅が開業したとき、乗客たちは教会の絵に十字架がないことに驚かされた。そこで熱狂的な正教徒たちが自分の小さな木製や金属の十字架をそこに付け加えた。政府もこれには異議を唱えていない。

スレーチェンスキー・ブリヴァール

 駅構内の円柱の上にはモスクワの人々や通り、ロシアの作家や詩人の作品の中のフレーズが刻まれたモニュメントを仰ぎ見ることができる。

リムスカヤ

 古代ローマを記念したリムスカヤ(ローマの意)駅の装飾は、ロシアとイタリアのデザイナーとアーティストが共同で手がけた。プラットフォームの端にはいくつかの円柱でできた作品があり、その間にはまだ幼いロームルスとレムスが置かれている。この作品のすぐ後ろには本物の噴水が作られているが、モスクワの地下鉄駅の中でも噴水があるのはここだけである。

 エスカレーターとプラットフォームに向かう入り口の頭上にはいくつかの浅浮き彫りが飾られている。リッタの聖母、カピトリーナのオオカミ、ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある双子像と真実の口である。

クレスチヤンスカヤ・ザスターヴァ

 古代ローマの雰囲気はこの地下鉄駅でも感じられる。壁の絵はローマ風モザイクのスタイルで作られている。クレスチヤンスカヤ・ザスターヴァ駅の主な装飾のテーマは「永遠の都」ではなく、百姓の労働である。モザイクには結わえ紐、熊手、麦わらなどが描かれている。 

*ロシアの地下鉄でもっとも美しいとされている駅については、こちらでどうぞ

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