モスクワの奥深くへ極限地下冒険

 モスクワの暗くてポタポタと水滴の滴る地下を見てみたいなら、思い切って探検してみよう。

 モスクワには昔から、広範な地下システムがある。秘密の「メトロ2(第二地下鉄)」、「ブンケル(防空壕)」、広大なトンネル網について聞いたことがあるかもしれない。ソ連崩壊後、地下を探索するニッチなサブカルチャー、地下掘りまたは極限地下冒険が生まれ、インターネットはその普及を助けた。ディガー(地下掘り人または極限地下冒険者)は今やモスクワに大勢おり、メトロ2探しはかつてないほど熱気を帯びている。この冒険に参加する最も簡単(かつ最も合理的)な方法を、特集する。

  1. ネグリンナヤ川でゾゾゾ

 モスクワ川の地下支流ネグリンナヤ川は、地下冒険発祥の場所。長い間、モスクワで唯一地下ツアーができた場所である。モスクワ中心部の北から南へと流れているこの川は、洪水および汚染により、19世紀初めに配管に通され、地下に隠された。地元の人に大切に利用されてきたこの川は、今や幽霊がいると考えるゴースト・ハンターの間で人気スポットとなっている。

 ネグリンナヤ川はそれほど大きくなく、簡単に入れる拠点が複数あることから、初心者にはぴったりだ。内部は広々としていて、平で、歩きやすい。中を歩いていると、ここの”住民”についていろいろ知ることができる。少なくとも38人の農奴を暴力的に殺害した大地主ダリア・サルトィコワや、体長10メートルの世界最大のネズミなど。

 2時間のツアーは1人3000ルーブル(約5720円)から。

 

  1. 「地獄の九圏」川の見学

 この名称はちょっと大げさかもしれない。川を通ることで危険度は増していくかもしれないが(ダンテの地獄の九圏のように)、悪魔を見ることはないだろう。実際、ツアーの企画会社のウェブサイトには、初心者はちょっとだけ困難に遭遇するだけだと書いてある。「地獄の九圏」はネグリンナヤ川の一連の地下支流であるが、水平方向というよりも、垂直方向に互いに流れ込んでいる。つまり、地下冒険者は2キロの冒険で各圏を登らなくてはいけないのである。参加する前にジムに行って少し体を鍛えておいた方がいいかもしれない。

 これは真の地下冒険。狭い管を登り、滝を横切り、腰の高さほどある水の中を進む機会である。予備の靴下を持って行こう。

 ツアーは1人2000ルーブル(約3820円)で、すべての服や装置のレンタル料込み。

 

  1. 「ディガー道」ツアー

 モスクワの地下をすでに探検した経験があって、もっと本物っぽいところを求めているなら、ダニエル・ダヴィドフさんはぴったりの案内役だ。ダヴィドフさんはディガーの中でも筋金入りのレジェンド。ダヴィドフさんのネグリンナヤ川のツアー・サービス「地下の旅」は、ロシアの国営テレビのニュースや、アメリカ系の「ディスカバリー・チャンネル」でも取り上げられている。また、モスクワのFM局で地下に関するトークショー番組も持っていた。

 ダヴィドフさんは今、「壊れた瓶や酔っ払い」のいるネグリンナヤ川を回避して、モスクワのもっと荒廃しているものの手付かずの部分の探検を旅行者に提案している。ダヴィドフさんの「ディガー道」ツアーの一つでは、落ちた管をロープを使って登ったり、本物の鍾乳石を登ったりする機会がある。大冒険の後は、「ディガー茶」でリラックスしよう。

 ダヴィドフさんはモスクワ市行政府と協力して、モスクワの地下の生態学的保全を支援し、ツアーを完全に合法化している。ツアーは1人4000ルーブル(約7630円)から。必要な装置すべてのレンタル料込み。

 

  1. オンラインのディガー・コミュニティに参加

 ディガーのほとんどは、地下探検の様子をオンラインで積極的に共有している。コミュニティのウェブサイトで最新の発見を知ることができる。

モスクワ・ ディガー

Caves.ruフォーラム

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