モスクワ地下鉄の至宝:「紫線」の見どころ、付近の名所など

 モスクワ地下鉄の紫色の線(タガンスコ・クラスノプレスネンスカヤ線)の駅は、そのほとんどがブレジネフ時代にデザインされたものだ。当時、スターリン時代の壮大な建築と大規模な装飾は過去のものとなっており、より簡素なスタイルを志向していた。それでも、その見た目の単調さは、輝きを秘めている。

タガンスカヤ駅

タガンスカヤ駅

 タガンスカヤ駅の大理石の壁には、ソ連の美術家エドゥアルド・ラドゥイギンが制作した10枚の金属パネルが飾られている。このパネルには、ロシアの航空と宇宙開発の起源からガガーリンの宇宙飛行にいたるまでの歴史が描かれている。

 地下鉄駅を出ると、正方形の広場があり、その一角に、世界的な演出家ユーリー・リュビーモフによって設立された、伝説的な「タガンカ劇場」がある。

 

プロレタルスカヤ駅

プロレタルスカヤ駅

 プロレタルスカヤ駅の壁には、白い大理石が施され、その黄色の背景に、ソ連のシンボル「槌と鎌」が描かれたパネルが貼られている。駅名も、類似の色の背景から浮き上がる。

 

ヴォルゴグラーツキー・プロスペクト駅

ヴォルゴグラーツキー・プロスペクト駅

 ラドゥイギンによるもう一つの作品が、ヴォルゴグラーツキー・プロスペクト駅の壁にある。この駅は、ボルゴグラード市(1925~1961年はスターリングラードの名で知られる)をテーマとしている。
 4枚のパネルが兵士を描いている。大祖国戦争(独ソ戦)のターニングポイントとなった「スターリングラード攻防戦」に参加した兵士たちだ。彼らとともに、労働者、芸術家、科学者も描かれている。

 これらのパネルは、実は、古代エジプトの芸術につながる様式をもつ。中央に一人または複数の主要人物がおり、象形文字を連想させる、より小さなモチーフが多数ある。

 

シューキンスカヤ駅

シューキンスカヤ駅

 シューキンスカヤ駅の壁面を飾るのは、4枚のパネルだ(2枚がオリジナルで、残りの2枚はコピー)。これらは、1970年代の、急速に変貌するモスクワを描いている。当時、首都では、新しい住宅が大量に建設されていった。

 

クジミンキ駅

クジミンキ駅

 クジミンキ駅の壁面のキャスト(鋳物)・レリーフは、美術家グリゴリー・デルヴィズによってデザインされた。森の中を歩いている動物や子供たちが、鋳物の浅浮き彫りで表されている。最大のレリーフには、実は、職員の出入り口が目立たぬようにある。

 

ベゴヴァーヤ

ベゴヴァーヤ 駅

 ベゴヴァーヤ 駅の装飾は、競馬がテーマ。近くのモスクワ中央競馬場にちなんで命名された。「ベゴヴァーヤ」とは、ロシア語で「競走」という意味だ。

 改札広場は、「強い騎手」と題されたパネルで装飾されている。階段の壁にも、乗馬スポーツを描いたレリーフがそびえている。すべてがラドゥイギンによってデザインされたものだ。

 

バリカードナヤ駅 

バリカードナヤ駅前の広場

 バリカードナヤ駅のファサードには、戦う革命家を描いた浅浮き彫りが施されている。これは1905年の第一次ロシア革命のクライマックス、12月のモスクワ蜂起を題材としている。

 駅を出ると、有名なスターリン様式の7つの超高層建築(セブンシスターズ)の一つと、世界最大級のモスクワ動物園の入り口が見える。

 

プーシキンスカヤ駅   

プーシキンスカヤ駅

 壁面のパネルは、大詩人アレクサンドル・プーシキンがテーマ。各パネルには、彼にゆかりのある場所のイメージが表現されている。すなわち、モスクワ、サンクトペテルブルク、皇帝の離宮のあるツァールスコエ・セローのリツェイ(プーシキンが学んだ、貴族の子弟を対象とした学習院)、プーシキン家の領地「ミハイロフスコエ」、そして、彼が葬られた、プスコフ州・スヴャトゴルスキー修道院の墓地。各パネルには、プーシキンの詩の引用が添えられている。

 

スパルタク駅

スパルタク駅

 スパルタク駅(旧名はヴォロコラムスカヤ駅)の建設は、実に1970年代から行われていたが、プロジェクトは一時、マネジメント上の問題で凍結。ようやく、2014年8月27日、近くの、サッカーチーム「スパルタク・モスクワ」のスタジアムと同じ日にオープンした。

 駅はサッカーを題材としたパネルで飾られている。主なデザインの色は白と赤。スパルタクのチームカラーだ。

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