次のユネスコ世界遺産登録場所

Kremlin in Pskov, Russia

Kremlin in Pskov, Russia

Vostock-Photo
 ポーランドのクラクフで7月に開催されたユネスコ世界遺産委員会の会議で、スヴィヤシュスク島・街の生神女就寝大聖堂・修道院が新たな文化遺産に登録され、ダウルスキー自然保護区が自然遺産に登録された。ロシアは他に、どんな場所をユネスコ世界遺産に推薦するだろうか。

1.         大プスコフ

プスコフ市のクレムリン=Vostock-Photoプスコフ市のクレムリン=Vostock-Photo

 ロシアは来年、西部プスコフの歴史的中心地とその周辺をユネスコ世界遺産委員会に推薦する可能性がある。

 大プスコフには、プスコフ公国の自然、文化、歴史の遺産15ヶ所以上が含まれる。中にはプスコフ・クレムリンの独特なフレスコ画と塔のあるミロジャ修道院もある。

2.         ユーリエフ・ポリスキー

聖ゲオルギウス聖堂、ユーリエフ・ポリスキー=ロシア通信/ユーリイ・カヴェル撮影聖ゲオルギウス聖堂、ユーリエフ・ポリスキー=ロシア通信/ユーリイ・カヴェル撮影

 13世紀初めにユーリエフ・ポリスキー(モスクワの北東200キロ)に建設された聖ゲオルギイ大聖堂は、その独特な白石彫刻で、国中の旅行者をひきつけている。

 スヴャトスラフ1世が1224年に氾濫したボルガ川の救済を記念して彫刻した石の十字架が、ここに保存されている。

 聖ゲオルギイ大聖堂は2019年、ユネスコ世界遺産に登録されるかもしれない。

「ユーリエフ・ポリスキーは黄金の環の一部として、ユネスコ世界遺産の登録にぴったりだと思う。この建築、特に昔の大聖堂は、何世紀もの歴史(モンゴル襲来の前と後)を一つにする。小さな街は歴史的環境の多くを保存しており、自然はロシア中央部(すなわちモスクワ周辺)の美を反映している」と、「地球の果ての建築」の著者ウィリアム・ブラムフィールド氏は話した。

3.         ペレスラヴリ・ザレスキー

スパソ・プレオブラジェンスキー聖堂(12世紀)、ペレスラヴリ・ザレスキー市=ロシア通信/ウラジーミル・ヴャトキン撮影スパソ・プレオブラジェンスキー聖堂(12世紀)、ペレスラヴリ・ザレスキー市=ロシア通信/ウラジーミル・ヴャトキン撮影

 ペレスラヴリ・ザレスキー(モスクワの北東150キロ)は、ユーリー・ドルゴルキーが17世紀半ばに創設した街。黄金の環の一部。街の救世主顕栄大聖堂はユネスコ世界遺産に登録されるかもしれない。

 ロシア中央部(モスクワ周辺)の北東側で唯一の白石造りの大聖堂であり、ほぼ完全な保存状態にある。13世紀、アレクサンドル・ネフスキーがここで洗礼を受けた。ジョチ・ウルスの襲来にあって損傷したが、改修され、フェオファン・グレクは有名な変容のイコンを描いた。今日、このイコンはトレチャコフ美術館に展示されている。救世主顕栄大聖堂で見学できるのは複製品。

4.         ゴロホヴェツ

ゴロホヴェツ市=RIA Novosti/ユリー・カヴェル撮影ゴロホヴェツ市=RIA Novosti/ユリー・カヴェル撮影

 ウラジーミル州の小さな街ゴロホヴェツ(モスクワの東400キロ)は2017年、ユネスコ世界遺産に暫定登録された。2019年に委員会によって検討される可能性がある。

 スラヴ人は10世紀、ここに居住するようになった。ここも黄金の環の一部。

 ユネスコによれば、ゴロホヴェツの歴史的中心部は、考古学、歴史、都市計画、風景、建築の特別な記念群。歴史的中心部の建築物が自然の風景と融合しているという。

 「クリャジマ川の河畔高台の上にあるゴロホヴェツは、ロシア中央部(モスクワ周辺)の最も景色の美しい街の一つ。幸いなことに、教会や商人の邸宅などの遺産の多くが、何世紀も経過したのに残っている。ユネスコ世界遺産への登録を熱烈に支持する」とブラムフィールド氏。

5.         大ロストフ

大ロストフ、ネロ湖の湖畔にあるロストフ・クレムリン=ロシア通信/ヴァルヴァーラ・ゲルテ撮影大ロストフ、ネロ湖の湖畔にあるロストフ・クレムリン=ロシア通信/ヴァルヴァーラ・ゲルテ撮影

 ロストフ・クレムリンはネロ湖の湖畔にあり、11の塔のある高い要塞の壁に府主教の邸宅が囲まれている。南と西の荘厳な門の上に塔がそびえ立つ。「府主教の邸宅は、今日まで残っているロシア最高の昔の建築群の一つ。ロシアの昔の建築と大きな絵の傑作の組み合わせ」とユネスコのウェブサイトに記されている

 ここは1998年に暫定登録された。

6.         オグラフトィ山脈

オグラフトィ山脈とエニセイ川=Legion Mediaオグラフトィ山脈とエニセイ川=Legion Media

 オグラフトィ山脈はハカス国立自然公園の一部。クラスノヤルスク地方ミヌシンスク市の北60キロにある。2016年、「自然遺産の観点で大きな科学的関心」にノミネートされた

 異なる歴史的な時代の数千の岩石絵画が露頭や岩石の断片にあり、この地域に住んできた人の環境、農業・畜産の種類、物、知的文化の変化を示している。

7.         ケノゼロ湖

ケノゼロ自然保護区、ヴェルシニノ農村=ロシア通信/ウラジーミル・ヴャトキン撮影ケノゼロ自然保護区、ヴェルシニノ農村=ロシア通信/ウラジーミル・ヴャトキン撮影

 アルハンゲリスク州のケノゼロ自然保護区には、絵画のように美しい湖、木造の礼拝堂、昔からの小さな村、融氷流水で形成された丘がある。

 地質学的条件によって、広大な湿地とタイガの森に囲まれた平野に特別な隆起ができている。そして風景の分離と不均一さが生じている。

 ケノゼロ自然保護区となったのは1991年。ここには、伝統的な天然資源の管理を守り、歴史的および文化的な記念物を保存するための適切な規制がある。2004年に、ユネスコの生物圏保存地域に登録された

8.         イリメヌィ山脈

イリメヌィ山脈=Legion Mediaイリメヌィ山脈=Legion Media

 イリメヌィ山脈はチェリャビンスク州の南ウラルに位置している。最寄りの鉄道はミアス市にある。山脈は半貴石、希少金属のペグマタイトで有名な、固有の地質学的現象。変形、交代変成を経たさまざまな変成岩と深成岩がもととなっている。ここは2008年にユネスコ世界遺産に暫定登録された

9.         コマンドルスキー諸島

コマンドルスキー諸島=ロシア通信/A. キバリチチ撮影コマンドルスキー諸島=ロシア通信/A. キバリチチ撮影

 コマンドルスキー諸島は、アラスカからカムチャツカに続く巨大な海嶺の上の15島からなる。島の大部分は低い丘。ここはロシア文化とアリューシャン文化が混ざり合う場所で、アメリカの鳥が数多く交尾する唯一の地。2005年、ユネスコ世界遺産に暫定登録された。

10.      大ヴァシュガン沼沢

北半球最大の沼沢系である大ヴァシュガン沼沢=Global Look Press/セルゲイ・フォミネ撮影北半球最大の沼沢系である大ヴァシュガン沼沢=Global Look Press/セルゲイ・フォミネ撮影

 北半球最大の沼沢系。湿地が果てしなく広がる地理学的現象である。

 大ヴァシュガン沼沢はチュメニ、オムスク、トムスク、ノボシビルスクの4地域にある

 2007年、ユネスコ世界遺産に暫定登録された。

ロシアのユネスコ世界遺産

 ユネスコが世界遺産を制定したのは1978年。1990年に初めて、サンクトペテルブルクの旧市街地、モスクワ・クレムリン、キジ島が登録された。今年7月、スヴィヤシュスク島・街の生神女就寝大聖堂・修道院、ダウルスキー自然保護区が登録されたため、28ヶ所(文化遺産17ヶ所、自然遺産10ヶ所)に増えた。 ユネスコの規則によれば、一国あたり1年で2ヶ所以内の文化遺産または自然遺産へのノミネートが可能。審査には約1年半かかる。

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