クレムリンの新たな観光ルート

アントン・ノヴォデリョズキン撮影/タス通信
 モスクワのクレムリンの敷地内でなされた考古学的発見を基に、今年11月30日には新たな観光ルートが誕生する。

 今年末までに新たに作られるのは、クレムリンへの別の入場口だ。新たな観光ルートは赤の広場にあるスパスカヤ塔の門から入る形となり、クレムリンへのチケットは別途、販売されることになる。

 これはウラジーミル・プーチン大統領が8月1日、直接、文化省に指示したもの。現在クレムリンには、敷地内にある博物館を周るルートしかなく、観光客はアレクサンドロフスキー公園側からしかクレムリン内部に入ることができない。

 新しい観光ルートでは、その途中に、かつてこの場所にあったチュドフ修道院、ヴォズネセンスキー修道院、小ニコラエフスキー宮殿の基礎部分を覗くことができる「窓」が作られる。14世紀、16世紀に造られた2つの修道院と、ロシア皇族のモスクワでの邸宅だった小ニコラエフスキー宮殿は1930年代に軍学校の建設のために取り壊された。

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小ニコラエフスキー宮殿

 19世紀に建造された小ニコラエフスキー宮殿は、皇族がモスクワを訪問する際に使用する屋敷だった。宮殿は1929年に取り壊されたが、作業が急ピッチで行われたため、解体された建物の廃棄物が処理された後、基礎部分はそのままコンクリートで固められた。これにより、建物の歴史的断片がきれいに保存されたのである。

 これら古代建築物の遺構は今年クレムリンの東側で実施された発掘調査で見つかった。モスクワの歴史的記念物の保護を目的とした活動を行う社会団体「アルフナドゾール」のコーディネーター、コンスタンチン・ミハイロフさんは「発見された修道院の基礎部分は真の考古学的発見です。発掘が開始されるまで、かつての状態で残っているものがあるなんて、誰も想像すらしていませんでした」と驚きを表す。

 一方、外国人向けの個人旅行を専門とするプロジェクト「エクスプロ・ロシア」の共同オーナーであるオリガ・シトニクさんは「スパスカヤ塔からの入り口は観光ルートとしては理にかなっています。というのも、観光客は必ず赤の広場を見に行くので、ちょうど発掘品を見て観光を終えることができるというわけです」と指摘する。

アントン・ノヴォデリョズキン撮影/タス通信アントン・ノヴォデリョズキン撮影/タス通信

 現在モスクワには、「窓」のようなものを使った考古学的遺物の展示というものがなく、新たに作られるものが初めての試みとなる。ミハイロフさんは「まさにその言葉通りといえる”街の歴史の深い部分”を観光客や市民に見てもらおうという展示は世界的なトレンドとなっており、ローマやロンドンでも見ることができるばかりか、ウィーンでは地下通路や地下鉄構内に古代の建築物が組み込まれているのです」と話す。

 文化省に対する大統領の指示の中では、クレムリンの東側の考古学的研究の今後の計画についても言及されている。ミハイロフさんはこれについて、事実上、クレムリンの考古学的発掘調査を常時、実施することを意味するものだとの考えを示す。「これはまさに前代未聞の決定。これまでクレムリンの敷地内を調査する発掘作業は一度も行われてこなかったのですから。次の発見が楽しみです」