サヤノ・シュシェンスキー自然保護区でゆきひょう=Shutterstock撮影
世界のどこでも、自然保護区や国営公園を訪問することは、旅行産業の一部となっている。未開の広大な森、川や湖、山々が連なるシベリアでは、それはまったく新しいこと。エコ・ルートはかなり独特で、旅行者もまばら。大自然、科学、静寂を愛する人のための自然保護区をロシアNOWが特集する。
中央シベリア自然保護区
「中央シベリア自然保護区(Central Siberian Reserve)」は峻厳で手つかずの美しいシベリア。クラスノヤルスク地方のトゥルハンスク地区およびエヴェンキ地区にある。
ユーラシアの心臓部であり、エニセイ川(川の両岸が自然保護区)やポドカメンナヤ・ツングースカ川が流れ、タイガが広がり、クマ、ヘラジカ、アナグマ、ヤマネコ、そして特別に保護されている、シベリアの歴史的に重要な毛皮動物クロテンが生息している。
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この領域は4億年前、熱帯海であった。海が消えて長い時間が経過しているが、いまだに保護区内の河岸ではサンゴなど、かつての形跡を見ることができる。これらの化石はシベリアの領域にかつて、古代大陸アンガリダがあったことを証明している。
動物と自然だけでなく、少数先住民族のケト人も、中央シベリア自然保護区の保護下に置かれている。その生活のために、特別なエログイスキー保護区が創設された。ケト人(北米インディアンの先祖という説もある)は昔、エニセイ川の河岸で暮らしながら、漁猟を行っていた。保護区内にはロシア正教の古儀式派の信者も暮らしている。
保護区内にはエコ・ルートがいくつかあり(ウェブサイトで詳細を確認できる)、そのうちの1本「フリチョフ・ナンセンの人跡未踏コース」はおもしろい。フリチョフ・ナンセンはノルウェーの有名な探検家、20世紀の北極研究者である。
醍醐味:真の未開のシベリアを見る。
バイカル自然保護区
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http://baikal-zapovednik.ru/(露語)
「バイカル自然保護区(Baikal Reserve)」はイルクーツク州のバイカル湖にある自然保護区。
保護区にはブリヤート共和国の「カバンスキー」自然保護区と「アルタチェイスキー」自然保護区が含まれている。これらの場所ではバイカル湖南岸、ハマル・ダバン山脈の中央部など、南バイカルの保全が行われている。この領域には360種の動物と鳥が生息しており、中にはレッドデータブック掲載種や珍種も多い。具体的にはノガン、イヌワシ、白尾ウミワシ、トナカイ、珍しいサケ科の魚タイメニなど。
ここは真の自然保護区だ。湖岸を多数の列車が通過することもなく、ゴミを捨てる騒がしい旅行客もいない。おもしろいエコ・ルートとして、野鳥愛好家のための鳥類学コースがある(その大部分はカバンスキーに位置している)。
ここでは「バイカル大道」を歩き、自然博物館を訪れて鳥や動物の鳴き声を覚え、北半球の空の星を観察できる(晴れている日は天の川も見ることができる)。また国際ボランティア・キャンピングで活動し、世界中の仲間と友達になることも可能(http://www.greatbaikaltrail.org/en)。そして異なるバイカル湖を見て、感じる。風のない快晴の日はおだやかで青く、嵐の日は力強く、厳しく、そしてとても印象的だ。
醍醐味:観光客のいないバイカル湖の自然保護区を見る。バイカル湖は世界一深い湖。
サヤノ・シュシェンスキー自然保護区
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「サヤノ・シュシェンスキー自然保護区(Sayano-Shushensky Reserve)」はクラスノヤルスク地方南部に位置している。
ユキヒョウが主な保護種。10月23日、さまざまな国の動物学者が国際ユキヒョウ・デーを祝った。ユキヒョウは希少動物で、専門家のデータによれば、世界の個体数は3500~7500頭ほどである。保護区内には6頭しかいないため、うっそうとしたタイガや西サヤノの山の斜面で遭遇することはほとんど奇跡である。シベリアベニマツもここの貴重な植物。その森の面積は1000平方キロメートル以上。マヌルと呼ばれるヤマネコ、イノシシ、ヤマネコ、オオカミ、クマもここに生息している。
おもしろいコースは「サヤノ峡谷の旅」。テントを持参し、厳しい自然条件のもとで長時間歩くワイルドな旅や、船、コックの料理、便利なゲストハウスでの休息など、快適な文明条件のもとで見学する旅も可能(価格や日時などの詳細な情報についてはzapoved7@yandex.ruに問い合わせることが可能)。
醍醐味:シベリアの自然の美と力が人間の水力発電の技術と融合する場所を見て、タイガでの生活、密猟、科学研究について職員から話を聞く。
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