シベリアの首都ノボシビルスク

わずか100年前、ここは鉄道オビ駅近くの小さな村であった。シベリア鉄道がこの場所に息吹を与え、シベリアの首都という非公式な地位を街にもたらした。

オビ川にかかる2キロメートルの鉄道橋は世界一長いと考えられている。=Lori/Legion Media撮影

 ノボシビルスクは、人口でモスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐ第三の都市。ライガーのような珍獣が育ち、住民は冬にスノーカイトを楽しむ。鉄道史博物館から死の博物館まで、興味深い場所がたくさんここにはある。

 

帝政ロシア時代の鉄道の旅

 ノボシビルスクの住民は列車を愛し、ロシアを横断するシベリア鉄道の歴史に自分たちの街が大きく貢献していることに誇りを持つ。市章にもそれは反映され、シベリア鉄道の路線とオビ川にかかる橋、後ろ足で立つ2匹のクロテンが描かれている。

 列車の記念碑は5つあり、鉄道セヤテリ駅近くには屋外機関車博物館もある。博物館には蒸気機関車、ディーゼル機関車、車両が100両以上あり、ロシア革命前から現在までの鉄道史を紹介している。自分の身長と初期の蒸気機関車の車輪の直径を比べたりしながら、外観を楽しめるだけでなく、実際に車内を見学し、革命前の貴族の旅を体感することもできる。ただし、このツアーには事前予約が必要だ。「N.A.アクリニン鉄道技術博物館」の開館時間は11:00~17:00。休館日は月曜日。所在地は54/1 Ul. Raz'ezdnaya, Novosibirsk, 630055。

 ノボシビルスクはオビ川の西岸と東岸の領域を占めている。20世紀初め、川が時間帯の境い目だった。東岸では朝が西岸よりも1時間早く始まっていた。オビ川にかかる2キロメートルの鉄道橋は世界一長いと考えられている。季節の寒暖差(+30 °C~-30 °C)が大きいことから、夏は橋が伸び、冬は縮む。その長さは50センチメートル。構造が不安定にならないように、支柱部分には動きを許容する特別なローラーがある。

 

シベリアの海のリゾート

 オビ川はロシアでもっとも長い川。ノボシビルスクには大きな貯水池が隣接し、美しい島が二十島ほど浮かんでいる。地元住民はここをオビ海と呼び、主要なリゾートとして利用している。ヨットのレースが行われ、市民は水上でカイトやウインドサーフィンを楽しむ。冬に貯水池が凍結すると、スノーカイトが主流になる。スノーカイトのシーズンは12月から2月。風が強くなければ楽しめないため、天候に左右される。

ノボシビルスク動物園のライガー=アレクサンドル・クリャゼフ撮影/ロシア通信

 休日は「ノボシビルスク動物園」がおもしろい。ここはネコ科の飼育で有名だ。ライオンとトラをかけあわせるライガーの実験は物議をかもしているが。ライガーはシベリアの気候に順応し、子孫も残している。ノボシビルスク動物園は年中無休で、Zoo Nskという無料のモバイル・アプリもある。

 毎年1月初めには雪文化フェスティバルが行われ、国内外の芸術家が雪像づくりに参加する。ノボシビルスクの姉妹都市である札幌の雪まつりの影響を受けて、2000年に始まった。

 

シベリアのシリコンバレー


アカデムゴロドク=Lori/Legion Media撮影

 ノボシビルスクでもっとも有名な地区の一つがアカデムゴロドク。国内の優秀な研究者を集めるために特別に創設されたオアシスだ。ここにはシベリア版シリコンバレー、ノボシビルスク・テクノパークがあり、世界レベルのIT企業、高精度実験工場、また遺伝子から哲学、考古学から核物理学までの科学研究所などが集中している。新しいコンピュータ・システム、レーザー、エボラ出血熱のワクチンなどが開発されている。

 半世紀前にシベリアのタイガにあらわれたアカデムゴロドクは、未来都市として設計された。建設の際には木材を伐採せず、森林の中に建物を建てた。

 ここを散歩していると、アート作品のようなものを目にする。例えば、DNA鎖を編む実験所のネズミの像。細胞学・遺伝学研究所のわきの公園にある。アカデムゴロドクにはたくさんのカフェやレストランがあるため、散歩中に休憩することもできる。コーヒーを飲み、軽食を食べるなら「トラベラーズ・コーヒー(Traveler’s Coffee)」がおすすめだ。グリルバーの「ピープルズ(People’s)」や「クローバー(Clover)」のランチもおいしい。

アカデムゴロドクの冬は市の中心部より少し寒いため、暖かい服装をし、春と夏は蒸すため、ゴムの長靴などは避ける。オビ海は夏の暑さから救ってくれるため、水着は必須だ。リスを見かけることがあるため、ナッツ類を持っているとエサやりもできる。

 

メメント・モリ


タス通信

 ロシアでもっとも風変りな博物館が、ノボシビルスク州ヴォスホド村のノボシビルスク市火葬場にある。火葬場所有者のセルゲイ・ヤクシン氏は、癌を克服した時、この博物館を創設することを決断。すべての展示品を自分で集めた。

 「世界弔文化博物館」には、霊柩車、故人の髪の毛からつくられた記念アクセサリー、特別な写真ジャンル「ポストモーテム」の写真、ビクトリア朝時代のデザイナーズ喪服のコレクション、デスマスク、像、記念碑などが展示されている。棺のコレクションも豊富だ。そのうちの一つ、魚の形をした棺の創作には、アフリカから棺桶屋のエリック・アジェテイ氏が招かれた。

 火葬場の外観は重苦しくなく、陽気なオレンジの色調でまとめられ、児童の遊技場まである。この博物館を訪れると、何とも言えない入り交じった感情を抱く。

 

行き方

「アエロフロート」またはノボシビルスクの航空会社「S7」の飛行機を利用するのがもっとも簡単。モスクワ経由の場合、モスクワ-ノボシビルスクの片道の運賃は200~250ドルほど。シベリア鉄道にはノボシビルスク駅があるため、列車の旅も可能。

 

宿泊先

 ノボシビルスクには良いホテルがたくさんある。4つ星の「ダブルツリーbyヒルトン」(1泊200ドルから)は、市の中心部のレーニン広場近くに位置している。鉄道駅の向かい側には「ノボシビルスク」(1泊約100ドル)ホテルもある。ペレストロイカ後に美しく改装された。他には4つ星の「リバーパーク」(1泊約80ドル)がフェリーターミナル近くにある。