冬のソチに着ていく服と持参する物

ソチの天候を決めるのは、コーカサス山脈と黒海だ=Lori/Legion Media撮影

ソチの天候を決めるのは、コーカサス山脈と黒海だ=Lori/Legion Media撮影

ロシアはどこへ行っても雪と氷におおわれているというのは、固定観念にすぎない。確かに夏でも寒い場所はあるが、ソチは違う。ソチの気候は亜熱帯性で、緯度はボストン(アメリカ)、トロント(カナダ)、札幌(日本)、瀋陽(中国)とほぼ同じだ。

 ソチはロシアの夏の首都と呼ばれており、ウラジーミル・プーチン大統領の夏の別荘もここにある。ただここには驚きの「自然のカクテル」があるのも事実で、高山帯と地中海性気候が、わずか50キロメートルの距離に並存する。ソチの天候を決めるのは、コーカサス山脈と黒海だ。コーカサス山脈は北と東からの冷たい風を妨げ、黒海は夏に、熱を吸収しながらゆっくりと温まり、冬に、たまった温かさを人々に与えながら冷めていく。

 

毎冬が予想外の「自然のカクテル」 

 ソチでは毎冬がサプライズだ。おしゃれな女性が新しい冬のコートを着れないほど温かい年もあれば、大雪と強風の本格的な冬が訪れる年もある。湿度が高いため、寒さは一層厳しくなる。ただソチの冬は短く、寒くなっても2~3日目には小川にはった氷がとけ、太陽が照り、鳥がさえずる。一冬にこのようなことが 何度かくり返されたりする。

 山のふもとのクラスナヤ・ポリャナの気候はソチの街中とは異なり、スキーに最適な雪が積もる。ヨーロッパの専門家も何度かこれを認めている。

 ソチは他の亜熱帯気候の場所と同様、雨が降る。寒い時期には雨量が増え、12月にピークを迎える。また季節によって湿度も変わり、冬には70%になる。これは見ているとおもしろい。歩いていると、自分のまわりに雲があるのだ。街中の冬の平均気温は日中で6~7℃、夜は0℃ほど。クラスナヤ・ポリャナはずっと寒く、街中との気温差は10~15℃に達することもある。さて、ソチとクラスナヤ・ポリャナに行く場合のサジェスチョンは。

 

助言その1 ソチの冬は傘が必須。雪よりも雨がよく降るため。ソチで氷点下になることはめったになく、クラスナヤ・ポリャナでもマイナス10℃になるぐらいだ。したがってソチやクラスナヤ・ポリャナに来て、シベリアの極寒を体験したり、黒海で氷塊の上にいるペンギンを写真撮影したりすることは無理だ。黒海は不凍海である。

ソチの冬は傘が必須=Lori/Legion Media撮影

助言その2 ソチに来るなら厚手のコートと薄手のジャケットを持参すると良い。翌日に何を着なければいけないかは、その日にならないとわからないため。ソチの冬は気まぐれで、気象予報士を”だます”ことがよくある。毛皮のある上着なら、内部についているものの方が良い。湿度が高いため、襟についた毛皮やコートの外側の毛皮は湿ってぺったりとし、外観を損なう。

 

助言その3 靴は防水で歩きやすいものが必要。念のため、ゴムブーツと温かい革製のブーツを持ってくると良い。

 

助言その4 温かい帽子、マフラー、手袋の持参も必要。特にクラスナヤ・ポリャナに行く場合は、これがないと厳しい。帽子は極端に厚手でなくても良く、冷たい風から守る程度のもので十分だ。

ソチの冬は気まぐれで、気象予報士を”だます”ことがよくある=Lori/Legion Media撮影

助言その5 サングラスも必要になる可能性が高い。晴れた冬の日には、黒海の反射やスキーコースの照り返しがあるため、サングラスがあると目が楽だ。

 

助言その6 冬の黒海のビーチで日焼けをしたり、泳いだりする人を見る可能性が高いが、真似はしないほうが良い。天気が変わりやすいため。また気温が高めだったとしても、海水の温度は10℃以下の可能性もある。泳いでいる人は何年もきたえてきた地元住民であることが多く、どんな天候でも敢行する。ソチでこの時期に泳ぐには特別な訓練が必要となるため、寒中水泳の経験がない人は、やめておくべきである。

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