移住受け入れに住宅も用意

カリーニングラード北駅 写真提供:wikipedia.org / wk5353

カリーニングラード北駅 写真提供:wikipedia.org / wk5353

 白衣をまとった黒髪の男性が殺菌された廊下を走る。カリーニングラード周産期母子医療センター。閉まった扉の向こう側には体重500㌘以下の新生児の保育器が並ぶ。

 同センターの副主任医師サムソン・アサトリャンさんは3年前、「同胞移住プログラム」によって、妻と2人の子を連れてアルメニアからカリーニングラードへ移り住んだ。サムソンさんはこう語る。

「私たちにとってロシアは生家であり、みんなソ連出身者なのです。ここには自分の子供たちの未来がある。一時滞在者ではありたくない。私たちは同様のプログラムがある38地域からここを選んだ」

 2007年から12年にかけてのプログラム実施の5年間に、30万人の申請者のうち約1万8000人がカリーニングラード州に移住した。

 セルゲイ・ブルィチョフ地方自治体発展相代行は「カリーニングラード州の移住者受け入れの数はロシアで第1位。プログラム第2弾では年間5000人のより現実的な数字を掲げた」と述べた。

 移住者にはカリーニングラード市近郊に仮住宅が用意された後、空き住居が探される。ウクライナ、アルメニア、カザフスタン、タジキスタンからの移民が多いという。

 

求む造船・原発従事者

  ブルィチョフ代行は直面する課題を率直に語る。「移民には財政的支援(同州の赴任手当は6万㍔(約18万円)だけでなく、心理的支援や語学力も必要だと認識している」。

 今求められているのは医師のほかに造船従事者、ネーマン市郊外に建設中のバルト原子力発電所での労働者だ。

 現在、同州では150以上の民族が共存している。サムソンさんはこう言い添えた。「カリーニングラードほど人に優しいところはない。ここの人たちは民族や信仰で判断するのではなく、一人の人間として接してくれる」。

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