出産後にベンチャー事業へ

2017年5月10日 マリア・カルナウフ
 ロシアの雇用主は、若い母親をあまり採用したがらない。母親たちは、自分のスタートアップ(新興企業)を立ち上げることを好む。
出産後にベンチャー事業へ
 Getty Images

 ロシアの若い母親の主な問題とは、子どもを出産した後の就職である。ロシアの人材紹介会社「プルッフィ」のアリョーナ・ウラジミルスカヤ社長によれば、出産後に就職するのは非常に難しいという。「企業の幹部は2つのことを心配している。出産、育児の期間中に仕事の能力が低下したのではないかということ、そして働くママは子どもが病気になると、その都度病院に連れて行かなくてはいけなくなるのではないかということ」とウラジミルスカヤ社長。それゆえに、若い母親の間で、就職先を探すのではなく、自分のプロジェクトを企画するのがトレンドになりつつあるのだ。「雇用主側から負の刺激を受けることで、母親は自分になじみのある分野へと進む。育児や健康の問題に深く関わっているため、この分野の事業を始めるのは簡単」とウラジミルスカヤ社長。

 同時に、成功するスタートアップと小さな子どもの育児を両立するのはとても困難だと話す。「スタートアップも小さな子どもで、一日24時間注意を向けなければならない。家族または事業のどちらかで不完全が起こる。母親として子どもをおろそかにはできないから、事業に支障がでる」。とはいえ、問題の解決策はある。足りない部分の専門家を雇うこと。そうすれば、成功する確率は高まる。

 

エレーナ・ポルツァリスさん、「オルガマムゼル」プロジェクト(遠出する際に道中で子どもを楽しませるセット)

エレーナ・ポルツァリスさんエレーナ・ポルツァリスさん

 オルガマムゼルを、友人で同僚のアンナ・スヴェルドロワと創設しました。パズル、本、おもちゃ、粘土、ビーズ、羽根などが入る子ども用のセットのアイデア自体が浮かんだのは、娘とタイに行ってからです。娘はアイパッドを使いたがって、寝るのを嫌がったんです。このセットをつくるのに、私の心理学者としての経験を活かすことができました。私は学校で9年、難しい子どもに対応していましたから。アンナから、セットのアイデアを商業化しないかと提案され、提供された品で最初の5セットを用意しました。インスタグラムに画像を投稿して1時間で売り切れました。

写真提供:orgamamzer.ru写真提供:orgamamzer.ru

 この時から1年で、月の販売数を150セットまで増やすことができたので、来年には2000セットまで増やせればと思っています。主にSNS(交流サイト)で製品を宣伝しています。また、入念に調査しており、さまざまなバッグを縫製して、中身を変え、顧客からフィードバックを受けています。ここ一ヶ月で、市場に突然、類似プロジェクトが4つ登場したのですが、こちらの立場を変えようとはしていません。販売領域の拡大やパートナーのネットワークの枠組みの中での拡大を積極的に進めていく予定です。アメリカにはまだこのようなプロジェクトがないので、アメリカを含む海外市場への進出を考えています。ロシアでは、カリーニングラードからカムチャツカまでの領域をすでに網羅しています。

 

グリナス・サギディノワさん、「クアントUM」プロジェクト(そろばんを通した子どもの知性の発達促進センター)

グリナス・サギディノワさんグリナス・サギディノワさん

 自分のプロジェクトを立ち上げる前は、投資会社で働いていました。でも出産してから、子どもの発達が自分にとって重要なテーマになりました。私にとって算数は子どもの頃から特別な存在だったので、暗算について知った後、これをやりたいと思いました。最初に学んで、この分野の指導者の国際免許を取得しました。準備と子ども用のプログラムの完成にほぼ2年かかりました。

写真提供:quant-um.ru写真提供:quant-um.ru

そして1年前に「クアントUM」を始めました。うちで学ぶ子どもの人数は、1年で10倍になりました。プロジェクトの立ち上げには自己資金のみを投じて、宣伝にはSNSを使いました。口コミでも生徒が増えています。センターを開業して、2つの問題に直面しました。一つ目は、法学、マーケティング、人事というまったく異なる分野の専門課題。二つ目は、残りの少ない時間で家庭に影響を与えずにプロジェクトを進めるという課題です。

 

デムフィラ・グリシナさん、「マムコンパニヤ」(親子のイベント企画センター)

デムフィラ・グリシナさんデムフィラ・グリシナさん

 出産前は、地元(トゥーラ市)のテレビ局でジャーナリストとして働き、その後オンライン出版社で働きました。「マムコンパニヤ」は当初、母親と子どもの余暇を楽しくしたいという思いでつくられました。8年前、私と女友だち3人にこのようなアイデアが生まれたのです。そして、妊婦と0歳児から7歳児までの子どもの遊びを提案する家庭センター、マムコンパニヤができました。このセンターではないところで、大規模な家族イベントを企画して資金を集め、センターをオープンさせました。これは当初も今も事業の資金調達源になっています。というのも、マムコンパニヤでは利益を求めず、自費で多くのことをしているからです。

写真提供:mamcompany.ru写真提供:mamcompany.ru

 不況については、いろいろあります。顧客である親は減っています。子どもとオンライン・コースを使うようになった保護者もいれば、仕事に出てマムコンパニヤに来なくなった保護者もいます。一方で、私たちはこれに順応しています。新しいコースを始め、需要に合わせた教室プログラムを強化しています。たとえば、今はトゥーラ市などのロシアの6都市で今年開催される全国ハイハイ選手権に注力しています。

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