ロシアで老齢年金が始まったのは1932年。 すぐに受給開始年齢の制限が設けられた。女性は55歳、男性は60歳、労働条件が厳しかった場合は、年齢が引き下げられる。
2014年度、老齢年金を受け取った人の数は約3400万人。国家統計局によると、ロシアの労働人口は急速に非労働人口に変わっているという。このような傾向は世界中で見られるが、ロシアでは特に鮮明である。2016年までに、ロシアの4人に1人が労働能力のある年金受給者になり、うち4人に1人が労働能力のない年金受給者になる。
ロシアの法律にはいまだに、最低年金額の概念がない。恐らく最低であろう年金額は、最低限の生活費よりも少ないことが多い。年金を受給している地域によっては、年金額が最低限の生活費に到達する。ロシアでは年金額に地域差がある。
2015年の最低年金額はモスクワ市で9046ルーブル(現行レートで1万6506円)、サンクトペテルブルク市で6621ルーブル(1万2082円)、クラスノダル地方で6735ルーブル(1万2290円)、スヴェルドロフスク州で7161ルーブル(1万3067円)。全国平均となると、7476ルーブル(1万3642円)。
ロシア経済・国家行政アカデミー連邦研究方法論センターのドミトリー・ロゴジン所長によると、年金額は少ないものの、上の世代が下の世代を支援するというプロセスが、その逆の方が妥当であるものの、見られるという。「人々は年金額の規模に関係なく、支援に頼らずに自立しようと努力している」とロゴジン所長。
ロシアでは高齢者にいくつかの主な問題が生じている。就職困難、コミュニケーション不足、不完全な社会サービス、質の高くない医療サービスなど。
エレーナ&ゲンナジー・ティムチェンコ慈善基金のマリヤ・モロゾワ理事によると、年金生活者の問題に取り組んでいる社会組織でも、年金生活者の可能性を活かしきれていないという。年金生活者の多くが大学以上の学歴を持ち、現役時代は高い役職に就いていたサンクトペテルブルク市でも、提案されている仕事はチケット切りやクローク係。「なぜ年金生活者の知的な可能性を活用しないのか聞いたところ、そのような考えにすらおよんでいなかったことが判明した。年金生活者は単純な仕事、若い人が就かないような低賃金の仕事しかできない、という固定観念があることを証明している」
高齢者のための国家政策
ウラジーミル・プーチン大統領の呼びかけにより、2025年までの高齢市民のための行動戦略が作成され、連邦政府に提出された。
この文書は高齢市民に対する国家社会政策の主な方向性を示している。特に重要な点は、高齢者の寿命を延ばし、生活のレベルと質を高め、活発で健康的な長生きおよび社会生活における社会的、経済的融合を刺激することである。
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