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ロシア連邦教育省が学校の生徒とその親の大きなデータベースをつくろうとしていることが最近、明らかになった。このデータベースには、連邦省庁、地方行政の幅広い関係者がアクセスできるようになる。
ほとんどオープン
少なくとも2200万人の小中高生や大学生の成績、その健康状態や家族の状況について、役人が情報を得ると考えられる。教育省自体だけでなく、保健省、労働省、税務・年金機関、地域の教育関連組織、教育機関、後見機関も個人データを使用することができるようになると、「コメルサント」紙は書いている。
しかしながら、ロシア人に関する特別なデータベースを作成せずとも、かなり多くの情報を知ることが可能だ。個々の状況によってデータの可視範囲は変わってくる。
「ある人が事業を行っている場合、その人の納税者番号、住所、国と結んだ契約の種類を知ることができる。これらのデータは、個人事業主の登記簿に保管される。登記簿は各地域に存在し、そこから謄本を得ることができる。公務員については、その収入、所有している車や不動産の情報を知ることができる。それらのデータは、省庁や税務署のウェブサイトで拡散される。誰かが一度でも議員になったことがある、または選挙戦に立候補したことがある場合、その人の個人情報はたくさん見つかる――その人自身について、またその収入、就業場所などについて。それらは選挙期間中のオープンソースで公表される。公人の場合、その人の経歴は国家機関のウェブサイトに載る」と、連邦経済開発貿易省付属契約関係専門家会議のメンバーであるイヴァン・ベクチン氏は話す。
誰かが公開株式会社の役員である場合、そのデータは企業のウェブサイトの公式な報告に載る。あとはもちろん、交流サイト(SNS)。ロシア人は自分のページで、自分自身について語っている。また、裁判所のウェブサイトで個人の裁判手続きに関する情報を、または執行官のデータを通じて債務の種類を、簡単に見つけることができるという。
「情報を探す場合、ロシアの登記簿局に照会して、ある人にどのような不動産があるのかを知ることができる。探している本人がお金を持っていれば、情報の一部を買うことも可能。公の情報源とそうではない情報源がある。法人のデータベースがあり、1万6000ルーブル(約3万5900円)ほどで1年間アクセスでき、5万ルーブル(約11万2000円)で最大限に幅広い情報の収集が可能となる」とベクチン氏。
また、国家道路交通安全監督局(GIBDD)のウェブサイトでは、自動車の罰金の未払い額について知ることもできる。照会に必要なのは、自動車のナンバーと運転免許証番号。
それ言っちゃって大丈夫?
とはいえ、ロシア人の情報は半端なのだという。「ロシアでは情報化があまり進んでおらず、年金基金にも全国民が含まれているわけではない。闇経済の範囲内で生活している国民も多くいる。そのため、経済的に活発かつ公な社会の一部しか覗くことができない。国が大きく、データが連動していない」とベクチン氏。
国立経済高等学院・情報安全講座のアレクサンドル・バラノフ主任によると、ロシア人は情報の扱い方や、開示された場合の悪影響について話すことを学ぶ必要があるという。「一般的なロシア人は情報技術に対してかなり無防備であり、さらに、どのような情報を公開していいのか、してはいけないのか、を必ずしも理解できているわけではない。開示されることにあまり抵抗がない。知られて困る大切な情報としては、銀行カードの番号や、身分証およびパスポートの情報があるが、市民は航空券や鉄道乗車券を購入する時に、これらの情報すべてを開示している」。ロシア人をハッカーや詐欺師から守る民間情報防衛システムを、国が確立すべきである、とバラノフ主任は考える。
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