ロシアの性差別主義の実態

Lori/Legion Media撮影

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ロシア社会には、男性のふるまい、女性のふるまいに、それぞれ暗黙の基準がある。その際、女性ははるかに強い差別にさらされている。これは日常生活にどのような問題を生むのだろうか。ロシアでは男女平等までの道のりは長いのだろうか。

 つい最近、短文投稿サイト「ツイッター」での出版社のあるつぶやきが物議をかもした。「メドゥーサ」出版社が書籍「ロシアで性差別主義者にならないようにするには」を紹介する際、女性とこの問題を軽視するような発言を行ったのだ。これはロシア社会の男女平等についての、ジャーナリストの論争も引き起こした。社会の反応は、このテーマの注目度と重要性が、今日でも一般のロシア人の間で高いことを示している。

 

冗談もわからないとは

 ロシアでは女性に対する差別が存在していると考えるのは、興行情報サイト「ヨジクヨジク・ル」の編集長で、コラムニストの、スヴェトラーナ・フェオクチストワ氏。「男性は攻撃的な物言い、セクハラ、ひどい冗談に問題はないと考えながら、それを自分自身に許容する。そして女性が怒ると、冗談が通じないだけだと考える。仕事面では男性優先が存在する」。ロシア人が私的空間と社会的なエチケットのルールを尊重しないために、このような状況になっているという。「おそらく、農奴制やソ連の共同住宅(コムナルカ)といった歴史的要因によるもの」とフェオクチストワ氏。

 

楽な立場

 とはいえ、ロシアの多くの女性にとって、このような状況はただ慣れたものというだけでなく、楽なのだとフェオクチストワ氏は考える。ロシアの女性誌には、「自分の女らしさを目覚めさせるには」、「彼に贈り物をさせるには」といった記事が氾濫している。「女性であることを自分の目的のために利用する。国内の数百万人の女性はフェミニズムなんて必要としていない。問題の深さを理解し、何とかしようとする少数の女性は、男性、女性の両方から嘲笑される」とフェオクチストワ氏は結ぶ。

 国立経済高等学院のエレーナ・ロジュデストヴェンスカヤ教授もフェオクチストワ氏に賛成だ。「女性は不平等を『か弱い性』という立場の特権で補おうとする。例えば、一部女性はキャリア向上を保証されている場合、職場のセクハラを我慢する」。こう同氏は英BBCに語った。

 多くの女性のこのような立場は世論調査でも示されている。「全ロシア世論研究センター」の3月初めの調査によると、社会における男女同権の状況は改善されたという。ロシア人の90%は、教育での同権をあげている。これは2006年の80%よりも10%上昇している。他の項目でも、9年前と比べて、「同権」との回答は1.5倍になっている。女性が同権になっていると回答したのは、専門職での就職(48%から76%へ)、自分の仕事に対する妥当な報酬(47%から75%へ)、国の政治生活への参加(48%から74%へ)。

 

実際の不平等

 世論調査のデータは統計と矛盾している。「ロシア連邦国家統計局」のデータによると、ロシアの女性の平均給与はこれまでと同様、男性よりも低い(女性2万5000ルーブルに対し、男性3万3000ルーブル、2013年10月データ)。ローンを組む場合でも女性は不利だ。女性は妊娠すると仕事ができなくなり、したがって返済ができないと考えられているため。

 非政府女性合同コンソーシアムのマリ・ダヴチャン弁護士によると、ロシア人女性は自分たちの女性としての権利が侵されていることを理解できていないものの、このような扱いがあってはならないと感じているという。「職場での嫌がらせに対処しなければいけない。女性はかなりひんぱんにこのような問題に直面している。 労働市場のより低い給与に対する苦情もある。妊娠して職場から”追い払われた”、または手当を支払ってもらえないといった女性からの苦情は非常にたくさんある」とダヴチャン弁護士。女性の実業家が融資をなかなか得られないという相談も、ダヴチャン弁護士は受けている。

 最も大きな問題は、政府や行政が性差別主義に関連する問題の存在を公式に認めないことだという。ロシア下院(国家会議)には女性を守ることのできる法案もあるものの、審議対象にはならない。

 ロシアNOWは下院家族・女性・児童問題委員会に取材を行ったが、ロシアの性差別主義に関するコメントを得ることはできなかった。