役人はマスコミにしっかり対応を

ミハイル・ジャパリドゼ/タス通信撮影

ミハイル・ジャパリドゼ/タス通信撮影

ロシア上院(連邦会議)は、ジャーナリストの問い合わせに応じない役人に、1年の資格停止処分を科すことを提案している。上院大衆媒体法完成委員会は12日、この法案を承認した。マスコミ関係者の中には提案を支持している人とそうでない人がいる。

上院は12日、ジャーナリストの問い合わせに応じない当局者に、1年の資格停止処分を科すことを定める法案を承認した。当局者のジャーナリストへの対応はすでに法律で定められているものの、罰則が甘かった。

 ロシアのマスコミ関係者は、取材の難しさをしばしば訴えている。「ラジオ局で働いていたことがあって、軍・治安関係省庁によく手紙を書いていたが、常に返事をもらえるわけではなかった。回答を強制することは無理だった。役人がすんなりと回答してくれれば、仕事はもっと楽だったはず」とアンナさんは話す。

上院はジャーナリストの手助けをすることを決めた。

 

役人の資格停止処分

 行政的違法行為法典の修正案には、「マスコミへの不当な情報提示拒否」があった場合の罰金を1000ルーブル(約1900円)から3000~5000ルーブル(約5700~9600円)に引き上げることが記されている。当局者がそれでも情報の提供を行わない場合、「6ヶ月から1年の資格停止処分」を科される可能性もある。

 上院大衆媒体法完成委員会のヴィタリー・イグナテンコ委員長は、1991年から2012年までタス通信の社長を務めていた人物で、コメルサント紙に対し、この法案の必要性を説明している。「3000ルーブルの罰金なんて、重要な問い合わせを無視しようとする役人なら毎日でも支払うことができる。資格停止となれば、マスコミの意見に耳を傾けざるをえなくなる」。法案作成者によると、資格停止は有効な手段だという。「役人が資格停止名簿にのるというのは、一種の対話強制」

モスコフスキー・コムソモレツ紙のパーヴェル・グセフ編集長は、修正案が憲法で定められる報道の自由の保証に寄与し、さらに「ジャーナリストの権利と、マスコミを通じて自分の疑問への答えを得る市民の権利」を保護すると話した。

 

質問が多すぎる

報道ポータルサイト「メドゥーサ」のアンドレイ・コゼンコ記者は、マスコミの幹部とは異なる意見を持つ。ジャーナリストと当局者の関係は十分に調整されていると考えている。「国家公務員はマスコミの質問に答えることが義務づけられており、杓子定規な対応や、日刊紙に10日後に回答するなどの引きのばしをしようとすれば、自らの首を絞めることになる。コメントを拒否すると、コメントを出す以上に読者に多くを物語ってしまうことになったりする」。コゼンコ記者は、当局とマスコミの相互の圧力がどんどん強まっているという。国はマスコミの編集方針に圧力をかけるが、今の危機的状況にあって、ジャーナリストはすでに当局者に圧力をかけ始めている。

 歴史家でテレビ司会者のニコライ・スヴァニゼ氏も法案に懐疑的だ。この文書の実現は困難で、当局者に対する関係に行き過ぎが生じる可能性があるという。「国内に今マスコミは非常にたくさんあるのに、あらゆる新聞やウェブサイトの質問に答えなくてはいけなくなる。小さな報道機関もあれば、マスコミ登録が義務化されたブロガーもいる。回答が必要なマスコミと不要なマスコミにわけるんだろうか」。法案が可決された場合、ジャーナリストに丁寧で空っぽな手紙を書く係が省庁にあらわれると、スヴァニゼ氏。

この法案は言論の自由とは無関係で、マスコミとは社会における自由の指標にすぎず、一法律で規制できないという。「報道の自由を実際的に高めるためには、感じていることを素直に話し、書けるようにすることが必要。マスコミがそれを実行したことで、つぶされたり、制裁を受けたり、編集長が解任されたりしないようにすることが必要」とスヴァニゼ氏は話す。