セルゲイ・ボブイレフ / タス通信撮影
1月1日に改正移民法が施行され、ロシアへの入国ビザが不要な国民についての労働規定が変わった。これによると、外国人労働者は自分で労働許可証を取得し、ロシア語、ロシア史、ロシア連邦法の基礎の試験を受け、医療保険を支払い、健康診断、指紋鑑定を受けなければならなくなる。
労働許可証の取得料は就労先の地域によって異なる。これまでの全国統一価格1200ルーブル(約2000円)はなくなり、地方が地元の経済および人口の状況に応じて価格を設定するようになった。首都モスクワでは例えば、一時金1万4000ルーブル(約2万4000円)、その後月額4000ルーブル(約6800円)。
この新規定の対象となっているのは旧ソ連諸国の国民であるが、関税同盟および統一経済圏の国民(ベラルーシとカザフスタン)、ユーラシア経済共同体加盟国の国民は対象外となっている。
誰が屋外清掃員の穴を埋めるのか
移民局が統計をとった期間とは、外国人労働者が休暇で母国に帰省している時期であり、農業および建設業の仕事が始まる春まで戻らない。昨年末、出国する外国人労働者について、ルーブル安が原因との憶測が飛び交ったが、コンスタンチン・ロモダノフスキー局長はこう否定していた。「しばらくは外国人労働者が出国することはないだろう。労働者は母国の5~10倍の給与をロシアで受け取っている」
経済高等学院人口統計学研究所のニキータ・ムクルチャン研究員は、ロシアNOWの取材に対し、この統計データから外国人労働者の流入が減少しているとの判断はできないと話した。「移民局は新年の10日間の数字をとる。前の年の10日間と比較されるが、客観的な判断には、2~3ヶ月分の統計が必要」
外国人労働者が明らかに減少した場合、その抜けた人材をどう穴埋めするのか。ムクルチャン研究員はこう話す。「屋外の掃き掃除の仕事にロシア人が進んで就くとは思えない。そのようなマンパワーは不足している。ただでさえモスクワには、ロシア中部やボルガ川流域などの地方出身の労働者しかいないのに。可能なすべての人的備蓄は枯渇している。労働を希望する人は、すでにモスクワ、サンクトペテルブルク、他の主要都市で働いている。外国人労働者が消えて一番困るのは、人口50万人ほどの小さな街」
また、別の問題もある。「外国人労働者でいることは簡単ではない。家族から離れ、慣れた生活から離れなければならない。中央アジアからの労働者は作業現場や地下室で生活することもできたが、ロシア人はそれをやらない。だが労働者向けのまともな寮やマンションなんてない」と、ムクルチャン研究員。
高度人材の規定も変化
高度資格保有専門家については、少し状況が異なる。その特徴は最低賃金。年収200万ルーブル(現在のレートで約340万円)以上と定められている。高度人材の出身国は主にヨーロッパやアメリカとされてきたが、2014年の11ヶ月間、アジア太平洋地域からの高度人材がより多くロシアに入国したと、移民局広報室はロシアNOWに説明している。
ロモダノフスキー局長によると、今年から高度人材のチェックも強化された。というのも、ある入国者が書類上は高度人材であったのに、実際にはその年収やスキルが基準を満たしていなかったという事例が発生したため。その入国者に該当する手続き用の書類は、高度人材の書類とは大きく異なる。このような事態を防止するため、3月からは違反した場合の招待側企業の罰則が強化される。
高度人材の就労許可証の発給にかかる税金は、2000ルーブルから3500ルーブルに引き上げられた。クリミア共和国またはセヴァストポリで働く場合の最低賃金は、年収100万ルーブル(現在のレートで約170万円)まで引き下げられた。
ムクルチャン研究員は、移民法の改正とは関係なしに、近い将来、高度人材が減ると考える。「外国からロシアに来ている高度人材は1500~2000人と少ないが、ルーブル安で給与が下がるため、もっと少なくなる可能性がある」
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