エフゲニア・ノヴォゼニナ撮影/ロシア通信
ジェド・マロースの存在を信じているのは小さな子どもたち。遠い北極に暮らすジェド・マロースの代わりに、誰かが自分のところにプレゼントを持って来ると、7歳ぐらいまでの子どもが考えている。10歳ぐらいになると、もうあまり信じない。だがジェド・マロースに手紙を書くのは、あらゆる年齢の人だ。
タブレット、ノートパソコン、モバイル
「ジェド・マロース郵便が開設されたのは2001年。これまでに266万523通届いている。毎年17万通ほどになる。年齢は0歳から限りなく上まで」とジェド・マロース郵便担当のナタリヤさんは話す。
子どもがほしがるプレゼントは科学技術的機器。今年はMP3プレーヤー、デジタル・カメラ、ゲーム機の他、3位のセンサー式携帯電話、2位のノートパソコン、1位のタブレットの順で人気が高まっていく。
7歳のジェーニャ君はこう話す。「もう2年もジェド・マロースにタブレットをおねがいしてる。パパとママはもってるのに、ぼくはまだもってない。自分のがもてたら、自分であそぶ時間を決められる。今年こそねがいをかなえてくれるんじゃないかな」
ジェド・マロースのオリジナル
ジェド・マロースが回答できるのは、個性的で心のこもった手紙のみとなる。コスト的には45ルーブル(約90円)ほどだが、物理的に皆に返事を書くことができない。「慈善にたずさわる人が必ずいて、子どもたちの願いをかなえることを手伝ってくれるから助かる」とナタリヤさん。
ジェド・マロースの広報担当のリュボフィ・ヤキモワさんによると、返信保証やジェド・マロースからのプレゼントの受け取りも可能だというが、こちらは有料になる。
「公式ウェブサイトでは、子ども向けの手紙や小包を発注することができる。両親が手紙のデザインを選び、文章を書く。スイーツのセットや帽子とマフラーのセットなど、オリジナルの品を発注することもできる」
ウェブサイトに表示されている価格は、ぬり絵の40ルーブル(約80円)から、スイーツやおもちゃ+郵便サービス料のセットの690ルーブル(約1380円)までと、お手頃だ。プレゼントにはジェド・マロースの印と署名がついている。
ペンギン、日本刀
現代のロシアの子どもはガジェット以外に、「レゴ」ブロック、人形、ぬいぐるみ、ペットなどをお願いしているという。ペットはイヌやネコに限らない。
「ある女の子は、『ジェド・マロースさんは北極に住んでるから、まわりにはたくさんペンギンがいるでしょ。1匹わたしにおくって。おうちでペンギンをかいたいの』と書いていた」とナタリヤさん。
子どもが希望するプレゼントには、このように変わったものもあるという。願いをかなえる魔法の杖、物に息吹を与える魔法の粉、ハリー・ポッターのフクロウなど。また、顕微鏡を頼んだ男の子が数人、太陽系観察のためにと天体望遠鏡を頼んだ男の子が1人、そして日本刀を頼んだ女の子が1人いた。
ジェド・マロースと一緒にお粥
3歳のナースチャちゃんはこう話す。「ジェド・マロースのところにあそびにいきたい。ジェド・マロースはこわいけど、いっしょにおかゆを食べたらこわくなくなる。じてんしゃをおねがいしたい」
多くの子どもの新年の願いとは、ジェド・マロースに会うことである。ジェド・マロースの暮らしているところに行くことは夢ではない。ジェド・マロースの村には、ホテル、カフェ、スケートリンク、遊技場、アトラクション、動物園もある。
「1000ルーブル(約2000円)ほどが標準パッケージ。ジェド・マロースと会い、家のツアーに参加し、郵便局を訪問し、さまざまな楽しみを経験する。プラス料金でジェド・マロースから直接証書やスイーツの入った袋を受け取ることもできる」とヤキモワさん。
このようなジェド・マロースとの交流に喜ぶのは子どもだけではない。「全ロシア世論研究センター」の調査によると、大人の13%が土産物をプレゼントとしてほしいと考えている。また、11%がクリスマスツリーの下でプレゼントを見つけたいと思っている。10%は香水、化粧品、お菓子、アルコール飲料、ごちそうなどを希望している。一方で、17%がプレゼントはいらないと考えている。
ナタリヤさんはこう話す。「大人が希望するのは、健康、幸福、仕事、伴侶を見つけること、子どもを授かることなどの、非物質的なもの。2014年の困難な状況に関連して、多くの大人や子どもが、戦争がなくなることや世界平和を願っている」
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