二重国籍秘匿は刑事犯罪

PhotoXpress撮影

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ロシアは二重国籍を持つ市民のリストを作成している。8月4日に施行された法律によると、2ヶ国以上のパスポートを保有している人は、ロシア連邦移民局に届け出を行わなければならない。意図的な秘匿は刑事責任を追求される。政府は二重国籍を愛国主義への脅威と考えている。

法に違反すれば罰則も

 3月に行われたウラジーミル・プーチン大統領とロシア上院(連邦会議)議員の会合の結果、このような法律が施行された。上院憲法委員会のアンドレイ・クリシャス委員長は、二重国籍の保有についての届け出を義務付け、隠した場合に罰則を科すことを提案。プーチン大統領はこの案を承認したものの、やりすぎないよう注意した。「ロシアに誰が住んでいて、何をしているのかを知っておくべきであり、その権利もある」

 クリシャス委員長は完成した法案を持っていたが、これを主導したのはアンドレイ・ルゴヴォイ議員。ルゴヴォイ議員はアレクサンドル・リトヴィネンコ氏のポロニウム毒殺事件の容疑者だった。クリシャス委員長は行政責任について話していたが、ルゴヴォイ議員は刑事責任を求め、結果的に勝利した。ロシア人は今後、他の市民権を取得した場合に2ヶ月以内に届け出をしなければならず、違反した場合は5001000ルーブル(約15003000円)の罰金が科せられる。意図的に隠した場合は20万ルーブル(約60万円)の罰金、または400時間の義務労働が科せられる。子どもの二重国籍についても届け出を行わなくてはならない。

 ロシア憲法は、ロシア国籍以外の国籍を持つことを許可しているが、2つのパスポートの保有者は、国際協定で定められている場合を除き、ロシア連邦の市民と見なされる。今のところロシアが二重国籍に関する協定を結んでいるのは、タジキスタンとトゥルクメニスタンのみである。

 ルゴヴォイ議員は法案について説明しながら、愛国心の維持の必要性についても述べた。「二重国籍はロシア国籍の価値を下げる。この時、ロシア連邦の市民は他の国家とも関連性を持ち、他の国の憲法義務を果たさなくてはいけなくなる」。また、ロシアと「敵対する国」について話し、ロシアが「過激な世界環境に置かれているため、国と政府は二重国籍について知らなければいけない」と説明した。

 クリシャス委員長は、アメリカやラトビアなどの国で市民権を得た者が、その国の利益を守ることを宣誓させられることも説明した。

 政府が二重国籍を隠している役人を見つけようとしているのではないかとの見解が、下院(国家会議)法案の審議の際にさまざまな党から示された。役人の二重国籍は法律で禁じられている。

 

届け出方法

 実際に異なる国のパスポートを持っている人は、法律の要件をどう遂行すればいいのか理解できないでいる。

 ドイツに暮らしながら、両親のためにロシアを行き来したいと考えているナタリヤ・サヴョロワさんはこう話す。「もう2日も移民局に電話をかけているけど、つながらない。どんな風に届け出を出せばいいのかどこにも書いてない。外国に定住しているロシア人は対象外だという話もある。私はドイツに定住しているけど、数ヶ月間ほどロシアに戻っている。届け出が必要なのかわからない。ドイツで大半の時間を過ごすのに、ロシアが知らなければいけない理由は何?」

 インターネット上のさまざまなフォーラムで、この話題が取り上げられている。国内で他の国のパスポートを表に出さず、出国の際にロシアのパスポートを使っていれば、2つ目があることは誰もわからないと話している人や、ロシア人はパスポート申請をする際に2つ目の国籍について自らすすんで役人に話しているのだから、普通の弁護士なら施行された法律が無意味であることを裁判所で証明できると話している人などがいる。

 大統領直属市民社会発展・人権問題評議会のミハイル・フェドトフ議長は、2つ目の国籍があっても、ロシア人はロシア市民のままだと話す。「ロシアと他のどこかの国との間に協定がない場合、我々はその国家の市民権を認めない。したがって認めない市民権について届け出をしろというのはおかしな話」

 「市民協力」委員会のスヴェトラーナ・ガンヌシキナ委員長は、政府がこの法律で二重国籍の市民にスパイ、疑わしき人物のレッテルを貼ったと指摘する。「市民は役人との接触を最低限に抑えるために、2つ目の国籍を隠すことを選ぶようになる」