タス通信撮影
公衆無線LANの使用に際しては、オペレータに対し、身元確認のため、パスポートのデータを呈示しなければならない――。このような政令に、メドベージェフ首相が署名、発効したが…。
説明と打ち消し
そのわずか数時間後、モスクワ市政府広報部は、この政令は、公共事業体「ロシア郵便」の無線LANを備えた職場を対象としたものだとの“説明”を発表した。
「モスクワ市の公園、地下鉄、高等教育機関、学校、病院などには、この政令は当てはまりません。公衆無線LANの使用を大いに楽しんでください」。モスクワ市のアルチョム・エルモラエフ情報技術局長は、このようにタス通信に語った。
今回メドベージェフ首相が署名した政令は、テロ対策を強化する目的で既に今年5月に施行されている「情報、情報技術および情報の保護」に関する一連の法律の執行に関連し、出されたものだ。
ところが、そのさらに1時間後、ロシア情報技術・通信省も、この大きな反響を呼んだ政令に関し、新たな説明を加えた。それによると、やはり公衆無線LANスポットでの接続に際しては、オペレータは、ユーザーにパスポートのデータを確認するが、その方法は、各オペレータが選択できるという。「例えば、当局の然るべき部局に照会することもできる」。
また、同省によると、ユーザーはオペレータに対し、氏名、運転免許証の番号など、身元をを確認できる任意の情報を呈示しなければならない。
具体的には、オペレータからの照会は携帯メールで送られてくることもあるし、接続に際してネット上で記入する場合もあると、情報技術・通信省は説明している。もし、その無線LANスポットが個人が設置したものなら、ユーザーには、上のような義務は生じないとのこと。
しかし、同省の説明にはまだ不明な点がある。オペレータの照会を無視したり、誤った情報を呈示した場合でも接続できるかどうかといった点だ。
ビッグ・ブラザー
上の政令発表と、その後の説明、打消しがなされた数時間に、ユーザー達は、極めてネガティブな反応を示した。野党指導者で現在自宅軟禁下にあるアレクセイ・ナバリヌイ氏はこうブログに書きこんだ。「我々の目の前で、これまで長いことジョークの種でしかなかったリアルな“ビッグ・ブラザー”のシステムが出来上がっていく。誰が書いたか、何を書いたか、いつ、どこで、どのPCや携帯から書いたか追跡するシステムが…」()
しかし、打消しの情報が流れると、ナバリヌイ氏はブログを更新し、「かなり奇妙な状況だ」と記した。「こんなに反響があった後で、数時間沈黙。今度は打ち消しだ。古典的な“観測気球”に見える」
一方、ユーザーのなかには、ユーモアをもって受け止め、現代社会のネット依存を笑う者もいた。「核戦争の夢を見た。でも僕は、シェルターに入るのは拒否した。あそこはネットがうまくつながらないんだよね」
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