タス通信
今回の事故は、ロシア連邦刑事法典「交通安全分野の要件違反」にもとづいて、刑事事件になった。モスクワ地下鉄史上最悪の技術的事故である。正確な原因は今のところ不明。
事故原因の調査
事故現場では調査が続けられている。モスクワ市役所は、事故前に技術違反はなかったと弁明。「事故にあった列車にも、この区間の線路にも、地下鉄運行標準で定められている定期点検が完全に行われていたことは、すでに確認済」とモスクワ市交通・道路基盤整備課。
事故直後に連邦非常事態省が説明していた、電圧低下による急ブレーキは、確認されていない。事故原因の一つとして、現場の分岐器の故障の可能性も考えられている。
捜査委員会のウラジーミル・マルキン氏はこう話す。「車両自体の故障の可能性や、調査の際に出てくるであろう他の可能性を検証する。原因は複数存在するかもしれない。それは分岐器が作動しなかったこと、道床が沈下したことなど。平行線区で作業が行われているためだ」
整備担当者2人を拘束
捜査当局はすでに、最初の容疑者を拘束した。具体的には国営単一企業「モスクワ地下鉄」の線路保守責任者であるヴァレリー・バシュカトフと、線路保守責任者補佐であるユーリー・ゴルドフ。
5月末、アルバート・ポクロフ線を隣接するカリーニン線の建設中の区間とつなげるため、勝利公園駅-スラヴ通り駅の区間で分岐器と線路の敷設作業が行われた。
捜査委員会はこう伝えている。「バシュカトフとゴルドフは分岐器敷設作業に直接関与し、管理していた。調査したところ、不適切な作業が行われていた可能性がある。分岐メカニズムが普通の3ミリメートルのケーブルで固定されていた。今のところ容疑者に含まれるのは、直接的に作業を実施した者。だが捜査委員会は、モスクワ地下鉄の安全要件の順守を管理していた、作業の実施者から幹部までの、事故に関係しているすべての者を明らかにし、立件する予定」
ロシアのインターネットの反応
事故調査が続けられる中、ロシア人は独自にこの問題を調べようとしている。
モスクワ市民がこの2駅の区間の不具合を指摘していたことは、特筆すべき点である。市民活動家のセルゲイ・モロストフ氏は交流サイト(SNS)「フェイスブック」の自身のページに、以前モスクワ市役所地下鉄課に正式な手紙を送付したと書いている。手紙では、アルバート・ポクロフ線キエフ駅-勝利公園駅-スラヴ通り駅の区間で、車両の振動があることを指摘したという。モスクワ市役所の回答は、「線路は技術規定および許容範囲に準拠しながら維持されており、接合部の逸脱は発見されず、接合部の隙間の寸法は技術規定に準拠している」だった。ただし、この手紙と回答が本物かは証明されていない。
ロシアの人気ブログサイト「ライブジャーナル」のあるブロガーは、分岐器が事故の原因という説を独自に分析。アルバート・ポクロフ線の建設作業に関する詳細な写真報告を作成し、また勝利公園駅とスラヴ通り駅の区間で、乗客がここ数週間、不快さと列車の強い振動を感じていたことを強調している。
「何らかの原因で分岐器が正しく作動せず、2番目の台車が脱線した。極めて不運な場所。ゴムは簡単に破損し、先頭車両の後ろ半分がトンネル間の被覆にぶつかり、惰性と後続車両の圧力で激しく変形しながら、時速40~60キロメートルでトンネルに対して横になった。列車は急停止。乗客は出口を探しながら、”鉄板の後ろに”カリーニン・ソンツェヴォ線の建設現場で働いている建設作業員を見る。目撃者の多くが話している通り、建設現場を通じて地上にあがった」
モスクワ地下鉄独立労働組合の消息筋がイギリス放送協会(BBC)ロシア語放送に伝えたところによると、中央指令室が分岐器の状況を制御できなかったことから、事故が発生した可能性もあるという。
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