PhotoXPress撮影
砂糖と旅行
ナタリヤさんは自分にくじ運がないと考え、懸賞に応募することはあまりなかった。だが2度の幸運を手に入れた。「ケーブルテレビ会社の女性から電話がかかってきて、期日までにサービス料を支払っている契約者を対象に、毎月くじを実施していると言われた。それで今回私が当選したって。とても驚いたのだけど、賞品が何か聞いてもっと驚いたわ。砂糖25キログラムだって」。ナタリヤさんはすぐに当選連絡を信じたわけではなく、しばらく懐疑的だった。だがケーブルテレビ会社のオフィスを訪問した後、家にたくさんの砂糖が送られてきた。「今は仕込みの季節だから、いただいた砂糖をジャムづくりに使ってるの。この甘い贈り物を親戚にもわけたわ」
ナタリヤさんは数年前、別の抽選でトルコ旅行優待に当たったことがある。この時も飛行機に実際に乗るまでは、当たりを信じていなかった。ロシアの懸賞で多いのはトルコ旅行だ。
ヴィクトルさんは乳業会社のウェブサイトで作文コンクールの参加者募集案内を目にして、旅行をいかに切望しているかについての作文を書いた。その後電子メールで主催側から連絡が来たが、中身を読まずにいると、今度は電話がかかってきて、コンクールで優勝したと言われた。ヴィクトルさんはこれで2人分のインド旅行を手にした。
エカチェリーナさんは5つ星ホテルのレストランでパリ旅行を当て、両親にプレゼントした。「ホテルの宿泊、ホテル内レストランでの朝食と土曜日のディナーの料金が含まれていて、完全な招待だった」
イリヤさんはテレビのクイズ番組で最初に電話がつながり、答えを当てた。「当てるよりも、電話をいかにかけるが重要。電話がつながって、当てることもできたから、少額を手にした。これは銀行口座に振り込まれた」
当選確率は高くない
運良く当選している人が多い中、あらゆるコンクールを注意深く分析し、応募の際に努力しているプロもいる。ある女性のSNS(交流サイト)のウォールには、コンクールで自分への投票をよびかける書き込みがたくさんある。この女性の知り合いによると、これまでたくさんのコンクールで入賞し、炭酸飲料、ジュース、フォトセッション、スイス旅行、フランス旅行などを手にしているという。ただ、入賞の秘訣は教えてもらえなかった。
ロシア・ブックメーカー自主規制機関のオレグ・ジュラフスキー氏は、ロシアNOWの取材に対し、偶然に頼らなければいけない宝くじをロシア人があまり好まないと話す。好んでいるのは自分の頭を使って稼げる賭けだという。「例えば今はW杯が行われているが、結果を分析して賭けている。スポーツを理解でき、注意深く観戦できれば、高い確率で成り行きを予測でき、ブックメーカー経由で勝てる。500~1000万ルーブル(約1500~3000万円)の高額を手にする人もいるが、そんなにひんぱんには起こらない。高額を手にできるのは倍率が高い場合であって、そこに投じる人は非常に少ないため。小さな勝利ならばたくさんある。スポーツ好きは50~100ルーブル(約150~300円)の少額の賭けを好み、好きなチームの試合観戦を純粋に楽しむ」
とはいえ、スポーツ・イベントの賭けをする人はロシアの総人口の1.5%以下で、これは少ないという。賭けをするのは主に22~45歳の男性で、女性は極めて少ない。女性は基本的に、あまりスポーツに関心を持っていないのがその理由だ。
ロシアではスポーツ・イベントの賭けの人気がまだまだであるため、今後発展すると、ジュラフスキー氏は考える。「イギリスではスポーツの賭けのシステムが130年以上続いている。フランス、イタリア、スペインでは今人気が高い。ロシアで賭けが始まってまだ20年」
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