アレクサンドル・クリャゼフ撮影/ロシア通信
「違法な情報」とは?
ロシア政府は来年2月1日から、裁判所の決定を待つことなく、速やかに「違法な情報」が含まれるインターネットのウェブサイトをブロックできるようになる。違法な情報とは、「社会秩序の混乱に導く、過激主義的な活動を引き起こす、無許可のデモを呼びかけるような内容を含む情報」である。
業者、プロバイダーにアクセス制限を求める
検事総長または副検事総長は、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督局に、インターネットの違法情報へのアクセスを制限するよう要請できる。要請を受けた監督局は電気通信事業者に対し、違法情報を含むページのみまたはウェブサイト全体へのアクセスを1日以内に制限するよう、指示しなければならない。同時に監督局はプロバイダーにも報告を行い、プロバイダーはウェブサイトの所有者に対して違法な情報を速やかに削除するよう要求するか、またはアクセスを制限する。このようにしてブロックが実現する。
つまり、「ツイッター」や「フコンタクチェ」といったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に無許可のデモの実施に関する投稿があった場合、そのSNSは検事総長の鶴の一声でロシア国内で瞬時かつ完全にブロックされてしまうということだ。修正案では、政府から一般市民までの誰もが、検事総 長に違法コンテンツに関して報告できてしまう。
本当に修正案は必要か
この修正案に反対している人々は、これが悪用されるのではないかと警戒している。偽のアカウント名で違法な情報を書き込むだけで、あらゆるウェブサイトを閉鎖できてしまう。
ロシア電気通信協会は、修正案不要と考える。お決まりの新しい規則を定める前に、過激主義的な情報を含むウェブサイトをブロックできる既存の規則を、しっかりと機能させることを考えた方が良いと伝えている。
インターネットで過激主義的なソースの拡散を防ぐ対策は、すでに連邦法「過激活動対策について」に含まれている。この法律では、裁判所の決定にしたがい、そのような情報のあるウェブサイトをブロックできる。今回の修正案では、検事局が過激主義的か否かを判断する。「これはロシア政府の2つの分岐機能を 混合するものであり、連邦法に矛盾する」とロシア電気通信協会は伝えている。
裁判前ブロックはすでに行われている。自殺のプロパガンダ、ポルノ、麻薬に関する情報、裁判所の決定で違法と認められた情報を含むウェブサイトは、裁判所の決定なしにブロック可能だ。このようなリソースはブラックリストに加えられ、その後ウェブサイトの所有者は3日以内に違法な情報を削除しなければならない。所有者が従わなかった場合、電気通信事業者によってリソースがブロックされる。
いたちごっこになる?
修正案では、ブロックに「速やかな」という文言が加わった。さらに過激主義的な情報の定義が拡大し、社会秩序を乱す、あるいは無許可のデモを呼びかけるような内容を含む情報が、このような情報とみなされるようになった。だがブロックの決定に異議を唱えるメカニズムについては定められていない。
無許可のデモに関する情報がインターネットで拡散されないうちに、素早く削除したいという政府の意向が働いていることは明らかだ。だが、インターネット上の膨大な量のメッセージを、検事総長がいかにして適時監視するのか、についてはわからない。デモについてのメッセージは、簡単に暗号化できる。例えば、寓喩的(ぐうゆてき)または婉曲的(えんきょくてき)な言葉で、検索に”引っかからない”ようにすることも可能だ。ブロック対象のウェブサイトに1日の猶予があれば、SNSで簡単に拡散することができる。
このような理由により、新しい修正案の効果についてはいささか疑問がある。
野党「ヤブロコ」のセルゲイ・ミトロヒン党首は、ウクライナで11月21日から続いているデモを受けて、ロシア政府が動いたと記者団に説明している。修正案の作成者の一人、極右「自由民主党」のアンドレイ・ルゴヴォイ下院議員は、ビルリョボ地区の暴動がきっかけだと話している。ところで、修正案が最初に下院に 提出されたのは、ウクライナでデモが勃発する前の11月8日だった。
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