新法案「神聖冒涜の罪に禁固刑」

コメルサント紙撮影

コメルサント紙撮影

パンク・グループ「プッシー・ライオット」は昨年8月、刑法典第213条「フーリガン行為」に違反したとして有罪判決を受けた。その5週間後、「信者の 感情の侮辱に関する」法案がロシアの国家会議(下院)に4党派の代表によって提出され、今週火曜日に行われた第二読会で4分の3の支持を得て可決された。

 国会議員はこの8ヶ月間批判に配慮して、「社会に対する明らかに無礼な公共活動」および「信者の宗教的感情を侮辱する目的」で行われた教会やモスクでの 活動に対する罰則を、最大5年から3年の禁固刑に和らげた。罰金は最大50万ルーブル(約160万円)、また更生労働、強制労働、義務労働も定められてい る。

 「世論」基金が2012年9月に行った調査によると、ロシア人の45%が宗教感情の侮辱に対して刑事責任を問うべきだと答え、22%が問うべきではない、残りがどちらとも言えないと答えた。

 

 「感情をどうやって証明するのか?」 

 モスクワ宗教アカデミーのアンドレイ・クラエフ教授は、現代世界では憎しみの表現から人々を守るために法律が必要だと考える。またこの法案が「非常にあ いまい」であること、感情に関する文言を削除すべきであることなども話している。「互いへの苦情や、それについての裁判所の容認あるいは否認の範囲が大きく広がることになる。例えば私が感情を侮辱されたと裁判官や検察官に苦情を言ったら、私以外に誰がそれを確かめることができるのか。裁判所は原告の心また は感情が実際に傷ついたのか、被告の心の奥深くに隠された犯罪的なもくろみがあるのかなど、双方の心の中を確かめなくてはならなくなる」。

 1月に改正初案に否定的な結論を出した大統領直属人権問題評議会のミハイル・フェドトフ議長は、今回の法案を「十分丁寧に書かれている」また「最適に近い」と評価する。

 

 湧き起こる賛否両論 

 火曜日に反対した民主主義政党「ヤブロコ」の代表は、新しい法律が無神論者の権利を奪うと考える。「政府は刑事的に一方の市民、すなわち信者の感情ばかりを保護しているため、すべての市民の平等を保障する憲法に違反している」。

 「世論」基金の調査によると、17%のロシア人は宗教感情を保護する法律が無神論者の権利を侵していると考え、45%のロシア人は侵していないと考えている。

 「モスクワ・ニュース」紙は、モスクワの教会の信徒に法案についてのアンケートを行った。「信者の感情を侮辱してはいけないが、罰する必要はな い。神が罰するもの」と年金生活者のイリーナ・フョードロワさんは話した。ただしプッシー・ライオットの”パンク祈祷”については、「挑戦的すぎるた め」、罰が必要だという。

 ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」が4月に行ったアンケートでは、プッシー・ライオットを罰することが正しいと考えるロシア人が56%、やりすぎだと考える人が26%、刑事訴追は不適切と考える人が9%いた。

 信者のユーリー・オシキンさんは、法案が無意味だと考える。「人が誰かを中傷したら、神が判決を下す。ロシアの法律では個人を中傷した市民がその責任を 負う。法律は一つしかなく、そこで特定の範疇に属する人間だけを守る必要はない。つまり信者以外にも、労働者、自動車監督局の職員など、すべての人に対する条文が必要ということだ」。

 

 パンク祈祷の大反響 

 女性のパンクグループ「プッシー・ライオット(Pussy Riotプッシーの反乱)」は、大統領選挙中だった2012年2月に、モスクワの救世主大聖堂に覆面をして入り込み、聖職者しか入れない聖壇前で、「聖母マリアさま、プーチンを追い出して!」と歌い、“パンク祈祷”を演じた。

 検察当局は、女性3人は事前に示し合わせて「正教会に挑戦」したとし、「フーリガンの行為」で懲役3年を求刑した。モスクワのハモヴニチェスキー地区裁判所は、8月に禁固2年の実刑判決を言い渡したが、グループの弁護士の要求にもとづき、10月にモスクワ市裁判所で見直し裁判が行われ、メンバーの一人エカテリーナ・サムツェヴィチ被告の刑が、執行猶予付きに軽減された。理由は、彼女が「ギターを取り出し、歌う間もなく、守衛に外に連れ出された」ため。